塾と物語④
塾と物語というシリーズが続いています。
その舞台は、どこかの街にある小さな塾。塾長一人に、講師が数名いるようです。もちろん注意書きにあるようにフィクションです。
物語を通して、色んなことが読んでくれた人に伝わるように、あれこれ模索しながら書いています。よかったら気軽にご覧いただけると幸いです。
第四弾は「ニュートン」というタイトルです。
「リンゴは落ちるのに、月が落ちてこないのは、なんでだと思う?」
塾の先生が突然出した謎々に、僕は困惑しながら答えた。
「そんなの、誰かがもうとっくに答え見つけてるでしょ」
「答えになってないよ」と先生が笑った。
「でも、その通り。ちなみに、その正解を見つけたのが、ニュートンって人だ」
「進みたい進路があるけど、親に反対される」
そんな相談をした僕に、塾の先生はなぜかニュートンの話をした。
「ニュートンはね、意外と壮絶な人生を送っている。学校ではいじめられていたし、
それにその学校も親の都合で農園を手伝うために辞めさせられている。
でもね、彼は勉強が好きだったから、自力で勉強を続けて、大学に入学。
お金なかったから、バイトしながらね。そして、そこから僅か5年の間に、
『万有引力(重力)の法則の発見』『微分積分の発明』『光のスペクトル分析』等、
多くの偉業を成し遂げたんだ」
「やばいやつじゃん」
「そう。けっこうやばいやつ。そんな彼が、こんなことを言っている」
先生は急に真面目な顔つきになってその言葉を教えてくれた。
「どんな行動にも、必ずそれと等しい反対の反応があるものである」
「難しく言うと、作用反作用って言うんだけどね。
これはこじつけだけど、君が動けば、至る所で色んな反応があるものだよ。
でも、忘れちゃいけない大切なことは、これが君の人生ってこと。
色んな反応を集めながらさ、考える材料にしながら、最後は君が決めればいい」
先生はまたいつものやさしい笑みを浮かべると、こうも付け加えた。
「そしてもしも君を助けたり応援したりする言葉が欲しいなら、
僕を含めたもっと沢山の人の意見を聞くといい。
数々の偉業を成し遂げた天才ニュートンは、
多くの先人たちから学びを得たことを、比喩を使ってこう表現している」
「私が遠くを見ることができたのは、巨人たちの肩の上に乗っていたからです」
「現代は情報化社会。ネットで探せば、誰かの見つけた答えにすぐに出会える。
そんな現代という時代は、彼が生きていた時代よりずっと巨人に乗っかりやすい時代だよね。
目一杯活用するといいよ」
そう言うと先生は、タブレットで僕にニュートンの顔を見せた。
なんだか音楽家みたいな顔の奴だけど、ありがとうニュートン、まずは精一杯やってみるよ。
僕が将来なりたいのが塾の先生ってことは、今はまだ内緒にしておいた。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
偉人を文章で紹介するみたいなのやりたかったんですよね。