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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

ベルエポック52-シャーロック・ホームズ

2023.04.27 11:42

不況があり、貧民があふれ、暴動と犯罪が多発する、こうした世相でさっそうと現れたのがシャーロック・ホームスである。1829年首都警察つまりスコットランドヤードができるが、犯罪の多さにとうてい追いつけなかった。とりわけ「切り裂きジャック事件」はロンドン子の失望を呼んだ。

シャーロック・ホームスがデビューしたのは、実は「切り裂きジャック」の前年の87年で、処女作「緋色の研究」はあまり売れなかった。ところは事件後の第2作「4つの署名」でヒットを飛ばすのである。警察で解決できない事件を知識と推理で解決するホームスは、ロンドンのヒーローになった。

ホームズは「探偵」ということだが、今に至るもイギリスで探偵の免許はない。探偵社が設立されたのは実はフランスである。アメリカでは1850年にピンカートンがシカゴ探偵社を設立して、リンカーン暗殺を防止したことで評判になった。しかし仕事は軍の依頼のボディガードや、企業から労働者の監視を請け負っていたらしい。

シャーロック・ホームスは、誰もが知りたいロンドンや大英帝国に潜む「闇」を描き、それを社会的に解析することで、今日までつながる推理小説のモデルをつくったといえる。現代日本では毎日TVで殺人事件が起こっている。