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精神科医 諸藤(モロフジ)えみりの心のレッスン

いい医師の定義

2023.05.03 12:15



こんにちは、

精神科医の諸藤えみりです。



GW後半、

いかがお過ごしですか。

わたしは少し遠出をしています。



明日は友人に会う予定だから楽しみ!

わたしのマシンガントークが

炸裂する予定🤣


友人よ、覚悟して笑




では、今日のブログです。

あなたにとって、

「いい医師」の定義は何ですか?


優しいお医者さん?

怒らないお医者さん?



もし、

何でも「YES」と言ってくれる人を

いい医師とするならば、

要注意です。



そのいい医師は

あなたのためではなく

自分のために

YESと言っているからです。





精神科医をしていると、

患者さんにNOと言わなければ

いけないときがあります。


わたしはそれが苦手で。

患者さんの言うことぜんぶに

「いいですよ。」

と、言いたい。


「嫌われたくない」

「いい人でいたい」

の気持ちがあるからです。



それでも、

患者さんのために

「NO」と言わなくてはいけない

ときがあります。


今日は過去のわたしの話です。




過去に

ご飯を食べたくない

患者さんがいました。

摂食障害です。

体重が減り入院しました。


太りたくなくて

ご飯を食べたくありません。


このままだと痩せ細り

脳や身体に影響が出てしまいます。



でも、

患者さんは

「食べたくない。」

と言います。


わたしが

「食べたくないんですね。

じゃあ食べなくていいですよ。」

と言うとします。


耳障りはいいです。

患者さんの気持ちを尊重しています。


でも、

これって本当に

患者さんのためを思って

言っているのでしょうか?


嫌われたくなくて、

自分のために

言っているのではないでしょうか。




この場合

医師として求められる発言は

相手の気持ちを受容しつつ、

食べる必要性を説明することです。



わたしは心を鬼にして

「食べたくないですよね。

太りたくないですもんね。

でも、

このままだと体重がどんどん落ちて、

頭にも体にも影響が出ます。

もしかしたら

命にも関わるかもしれません。


食べるのは苦しいと思いますが、

食べて欲しいです。」

と、伝えました。




摂食障害の方は、

痩せていることが

唯一のアイデンティティーです。


体重を増やしたくない。

アイデンティティーを守りたい。

でも、わたしは食事しろと言う。



「先生、ムカつく!!」

と、泣きながら

糾弾されたこともあります。


彼女にとって

わたしはいい医者ではありません。





正直、わたしもつらいです。

でも、

「NO」と言わなければいけません。



相手に理解してもらえなくても

治療を続ける。


いい医師の定義って、

何なのでしょうね。





相手の意見に

反対しなければならないとき、

わたしは自分に問います。


相手のことを本当に考えているか。

言うべきことは言っているか。

保身に回ってないか。



目の前の人に向き合うとき、

葛藤する。

弱い自分と対峙する。



乗り越えた分だけ

わたしは強くなれる。