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Life is the very art.

朱の一滴

2023.04.29 13:33

道すがら・・・



路傍に咲く、一輪の薔薇の花。


あまりの可憐さに、思わず写真を一枚。

周りがおとなしめの色に囲まれていたこともあって、


その鮮やかさが際立つ街の一角・・・



心奪われて、しばし見入る。


その強烈な朱の色を見て、


まるでその一角がまるまる、書作品になったような錯覚を覚えました。




書の作品は、作品となる文字そのものだけでなく、


「落款」(らっかん)


という仕事をして、完成品になります。




「落款」


とは、自分の名前を筆で書き入れたり、


印を押すなどすることです。



書の作品・・・


特にわたしが学んでいる一字書、小字数書の作品では、


この「落款」はとても大きな影響力を持ちます。



書の構成要素は、墨の濃淡や滲みやかすれ、色合い、


紙の色や質感、分厚さなどなど複雑に関係するものの、


基本的には・・・



紙の「白」

墨の「黒」



この二つというシンプルさ。



そこに添えられる強烈な


「朱」



印は朱色。


白と黒の世界に、朱の印は鮮やかで、


鮮やかであるが故に、作品への影響はとても大きいのです。



印泥(朱肉のこと)の色目、印鑑の大きさ、


朱文(文字が赤い)の印か白文(文字が白い)の印か、


そして何より押印する位置を、ミリ単位で吟味します。



そうしてやっと、作品が「収まる」わけです。



それぐらい強い力をもつ「落款」なので、


作品制作するときは、その位置もあらかじめ考えて創ります。


でもたまに忘れたり、どうしようもなかったりします(未熟者)。



白と黒の世界に命の灯火を吹き込む朱の一滴


「落款」

作品を鑑賞するときは、ぜひそれもあわせて眺めてみてくださいね。


よい作品であれば、その場所に押印した意図も読み取ることができ、


きっと新しい見え方をすると思います。



自分の拙い作品でしかも表装前で見づらいですが、参考までに!


全く作品の雰囲気が変わってくるのが、一目瞭然ですね。