ミサイル列島と日米共同作戦
2023.02.18 15:00
『ミサイル攻撃基地と化す琉球列島‐日米共同作戦下の南西シフト』
小西誠著、社会批評社、2021年、2,200円
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評者は、小西誠『自衛隊の南西シフト』(2018年)によって、南西諸島への自衛隊基地増強の現実に目を開かれた。近年、与那国島(2016年3月)、奄美大島(2019年3月)、宮古島(2019年3月)、石垣島(2022年中)と、南西諸島に自衛隊の駐屯地が続々と建設されてきた。こうした動きは、仮想敵国が冷戦下のソ連から中国に変わったのに伴い、陸上自衛隊の戦力の重点が北海道から南西諸島へ移ったことを表しており、「南西シフト」と呼ばれる。
本書は、「南西シフト」の狙いは米軍のインド太平洋戦略と呼応した、中国海軍の第一列島線内への封じ込めにあることを明らかにするとともに、近い将来に奄美大島、馬毛島に自衛隊の一大要塞が建設され、南西諸島、九州にミサイル網が整備されようとしている点に注意を促している。
「台湾有事は日本有事」(安倍元首相の言葉)が当然視され、防衛費が丼勘定で2倍にされようとしている現状において、本書は精読に値する。(てんきりん)
(ひきとり新聞第16号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)