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「古志」東京句会を終えて(4月) 2

2023.05.03 04:00

昨日に続き、4月の東京句会の特選句から。


新参のわが脛(はぎ)こづく岩魚かな  園田靖彦


この川ではじぶんは新参者。


もとから川にいる岩魚は先輩のようなもの。


川の流れに足を入れれば、


岩魚先輩がこつんこつんと脛を小突いてくる。

岩魚(イワナ)wikipediaより 夏の季語)


ユーモラスに描かれている句ですが、


自然に対する畏敬の念が作者の根底にあります。


人間中心、人間優位の自然観ではなく、


あくまでも岩魚とおなじ視点で詠まれているので、


この句もおのずから読者に価値の転換を迫ってきます。


丸まりも隠れもせずになめくぢり  藤原智子


こちらは採り漏らしてしまった句でしたが、


先の句とおなじ良さがあります。季語は「なめくぢり」(なめくじ)で夏。


「なめくじ」というと、ふつうは嫌われ者ですが、


この句を読むと「なめくじ、すごい」というふうに印象が変わります。


たとえば「かたつむり」であれば、殻の中に逃げ込んだりするのですが、


なめくじは人が来ても堂々としたものです。


(ゆえにかたつむりは愛され、なめくじは嫌われるのかもしれませんが)


我が身を振り返って「何事にも動じないような生き方ができているか」


と問うた時、なめくじのようには堂々としていなかったりします。


そう考えると「なめくじ、実はすごいんじゃないか」となるわけです。


なめくじの魅力に気づかされるわけです。


人間優位の視点ではなく、なめくじと同じ視点に立っているからこそ生まれる佳句です。


ほんのちょっとしたことですが、こういう句に出会うと、心が豊かになった気分になります。


句会ではこうした連衆の句から多くを学ぶことができます。


(明日へ続きます)