オーロラ
オーロラ
Aurore
2006年12月29日 日比谷シャンテシネにて
(2006年:フランス:96分:監督 ニルス・タヴェルニエ)
バレエとかオペラとか、クラッシックになると・・・・なかなか鑑賞する機会も人も限られたものになってしまうところを、映画にした、という発想がいい映画です。
ドキュメンタリーではなく、フィクションとしてファンタジー映画にしてしまっているのは、めずらしいもの観ました、と思います。
ただ、お話が、日本のかぐや姫の絵本にそっくりなので少し戸惑いました。
踊りを禁じられた王国・・・という架空の王国ですが、何故、踊りを禁じているのかというのは「元踊子だった女王の愛の証のため」ということでちょっと曖昧、財政緊迫した王国の王は、16歳のオーロラ姫を金持王国の王子と結婚させようとするのでした。
最初の舞踏会、2回目の舞踏会、3回目の舞踏会・・・・オーロラ姫は、気に入らない。踊りが好きで、禁じられているので弟王子の前でしか踊れないのですが、肖像画を描く為に出合った画家と即、恋に落ちます。
予告編からして、綺麗綺麗なバレエシーンが満載で、こんな感じ?と思った通りの映画でした。
バレエを見せる、というのがこの映画の一番の芯で、話は二の次、三の次になっていますので、バレエ鑑賞映画とでもいいましょうか。
異国の王子たちが見せる踊り・・・アラビア風のエロチックなバレエ、日本の山海塾風前衛バレエ、オーソドックスなバレエ・・・と色々なバレエを見せてはくれるのですが、基本にあるのは、クラッシクバレエが一番という考えであり、前衛的なもの、白人以外が踊るものは、オーロラ姫が「うん」と言わない・・・ので折角、迫力の映像見せても、あら、がっくり。私はモダンや異国風のバレエをとても面白く観ました。
そして恋する画家との幻想的なバレエシーンになります。まさにかぐや姫状態になってしまうのでした。
『サロメ』は、かなり前衛的な大胆な発想のもとで作られたモダンバレエなのですが、この映画はあくまでも基本的なわかりやすい綺麗なクラッシックバレエを見せるという違いがあります。
もちろん、前衛や応用というのは基本ができていないと、成り立たないのですが、基本があって、一歩進んだ所にある何か、を見せているのが異国の王子たちが見せるバレエなんです。
オーロラ姫は(基本的)クラッシクバレエが上手いです。演技は表情乏しくても、踊りとなると全身の表現力は豊かです。
素人の私が観ても、そうそう真似できるものではないとわかります。
ただし、モダンや前衛バレエを否定するような流れになっていくストーリーと、豪華なお城のロケ(シンデレラ城のモデルとなった城だそうです)の割には、国王や女王が、貴族くらいにしか見えない・・・つっこみ所はたくさんあるのですが、それはもう絵本の世界と割り切ってみれば、「バレエの基本」を観る良い機会になる映画だと思います。