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Mari Takahashi

The little match episode

2018.06.05 09:51

マッチが何となく好きだ。

あの風貌にはちょっとした愛らしさがある。

擦った時の「シュッ」「ボッ」という潔い音。

オレンジ色の炎が

最初は花火のように勢いよく

それから落ち着いたきれいな雫型になる。

そしてあっという間に役目を果たし

白く細い一筋になって天に昇っていく。

その一連の光景は

ちょっとした魔法

まじないみたいだ。

その小さな魔法のstick達が

これまた小さな引き出しの中で

頭を揃えて眠っている。

自分の出番を今か今かと待ちながら。。

私の引き出しにも

マッチがいくつか在るらしい。

ふいに小さな炎が灯って

身体の底がじんと熱くなる事がある。

それは日々の中ですぐ消され忘れてしまうような

ほんの些細な出来事。

でも時折引き出しの奥から

マッチを一本取り出して

擦ってみるのもいいかもしれない。

そうして、小さな灯に浮かび揺らめく

例えばこんな記憶のひとひらを暫し眺めていようか。。