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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

ベルエポック56-ムーランルージュ

2023.05.08 11:34

パリ万博の観光客をあてこんで、モンマルトルで一つのキャバレーが開店した、世に有名な「ムーランルージュ」である。この地区はもともと「白い広場」と言われていたが、そこにまるで正反対の赤い風車をぶっ建てたのだ。以来ベルエポックを代表する歓楽街と変貌を遂げた。

もともとキャバレーというのは、イギリスで言えばパブで、労働者が酒を飲む居酒屋、そこではシャンソンが歌われ、詩が朗読され、社会批判が遠慮なく行われた。「ル・シャノワール」が有名であり、ここへボヘミアンの芸術家が混じり、フランスの高級文化に挑戦するアヴァンギャルドが生まれた。

ムーランルージュは観光客目当てでそんなことはできない。ダンスショーが中心となり、巷にはない刺激的なダンスを楽しむことができた。その代表は、高く足を振り上げてスカートの中を見せるフレンチカンカンである。このカンカン踊りもモンパルナスの労働者のダンスホールで始まった。

ムーランルージュから始まる文化は、日の当たらなかった庶民文化が表舞台へ出たものといえる。しかしダンサーを買うパトロンは、貴族やブルジョア達である。フランスは国外に投資してそのリターンで一種金余り状態だった。それがこのような形で爆発したのである。