ウサギの歯の不正咬合
最近はネットでの情報もたくさん知られるようになり、うさちゃんが歯の不正咬合を起こすことは少なくなってきました。
不正咬合を知らない人に教えると、要するに上下の歯がうまく噛み合わなくなって、病気の原因になることです。
うさちゃんは常に歯が伸びているので、一旦噛み合わせが悪くなってしまうと、歯は伸び放題になってしまいます。
どのようになるかというと、上の奥歯はほっぺたの方に突き刺さる様に伸び、下の奥歯は舌に向かってやはり刺さるように伸びていきます。
これを予防するために、牧草を良く、しっかりと咀嚼して、奥歯同士をこすり合わせて削ることで不正咬合を防ぐことができます。
主にチモシーを本人の好きなだけ与えるのが、不正交互の予防になります。
うさちゃんが飼われることが珍しかった時代は、その情報が広まって無く、ペレットだけをあげたりして、上述の様に歯が刺さる、ということが頻繁に起こっていました。
一度噛み合わせがずれた歯は、ひたすら伸び続けるうえに、真っ直ぐには戻ってくれないため、毎回、麻酔をかけて歯を削る必要がありました(無麻酔で行う病院もありますが、突然暴れだして腰の骨がズレ、下半身麻痺になってしまうこともあります)。
また、牧草を食べていても、顔の小さいダッチ種やネザーランドドワーフはその顎の小ささから、勝手に不正咬合になってしまうことも稀にあり得ます。
ただし、品種改良も進んでおり、そういううさちゃんはかなり少なくなりましたね。
他には前歯が不正咬合を起こすこともあります。
大抵は、ケージから出たいがために、鉄製のゲージをガジガジと噛んで、前歯の伸びる方向がおかしくなってしまうことが原因であることが多いです。
この場合は、上の前歯が、内側にクルッと半回転して、上顎に刺さることもあります。
一方、奥歯と違って歯切りバサミで簡単に切ることができます。
ここまで歯の不正咬合について書いてきましたが、うさちゃんの歯の伸びる速度は、早い子で一日当たり3mm。かなり短いスパンで歯切り、歯削りをする必要があります。
また、ひどい子になると、何と上の歯が上顎を押し上げながら上に伸びたり、下の歯も下顎のほうに伸びて、さらに歯根膿瘍になってしまうことすらあります。
うさちゃんの歯根膿瘍は厄介です。何故かというと、うさちゃんの膿は液体状をしておらず、チーズの様に固まって出てきます。
こうなると、抗生物質は膿に対して効果が無く、ほぼ腫瘍と同じような方法でしか対処ができません。つまり摘出手術ですね。
ただの歯の噛み合わせの悪さがこんな大変なことになってしまうんです。
では先ほども話した前歯の過長ですが、下の歯はほとんど悪さを起こしません。
ただ、伸びてはいくため、定期的な歯切りはやはり必要になります。
最後に非常に珍しいうさちゃんの話しをさせていただきます。
以前、一度上の前歯が折れてしまい、
ああ、今後はずっと歯切りが必要になっちゃうな、と思ったのですが、
何と少し経ったら、真っ直ぐに戻っていました。
現在も上下の歯がしっかりと噛み合っており、歯切りを必要としていません。
通常はあり得ない、奇跡的な症例でした。