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Evidence Based Physical Therapy - 理学療法士 倉形裕史のページ

クロ現+(”最先端”がん治療トラブル)を観て効果の実証されてないリハビリ理論について考えたこと

2018.06.07 13:44

こんばんは。夢のまち訪問看護リハビリステーション 都賀の理学療法士の倉形です。

2018年6月5日にNHKのクロ現+で下記のような番組がやっていました。

“最先端”がん治療トラブル 

特に観る予定だったわけではないです。帰宅した時に、父が観ていたので何気なく一緒に見始めたら、非常にいい番組だなと気付きました。再放送は無料では観れないみたいです。。。

“最先端”を謳い、効果も安全性も確立されていない治療を提供する人や団体がいる。藁にもすがる思いでそのような治療に高額のお金を払ってしまう患者さんやご家族がいる。心が痛む問題です。解決の力になりたい問題です。

 なぜ、このような問題を取り上げたかと言うと、 リハビリにも似たような問題はあって、効果の証明されていない理論もたくさんあるからです。 そのような理論(○○法)のような団体がセミナーをやって、経験の浅い勉強熱心なリハビリ関連職種が参加する。で、翌日から学んだ理論を患者さんや利用者さんへのリハビリに応用する。顧客の不利益になることもそうだし、勉強熱心で休みを返上してまで学びに行くリハ職種ほど治療成績が悪くなってしまうとしたらこんなに理不尽なことはありません。

 どの程度のリハビリ職種の方から賛同が得られるかはわかりませんが、私にとって、この現状はクロ現+で取り上げられたものと同様に残念な問題です。

 以前読んでいて、ガッカリしてしまった本の中で、○○法のような科学的根拠の乏しい理論をサポートしているセラピストが書いた文章の中に『○○法は、現段階では科学的根拠は乏しい。でも、現在研究されているから、間もなくエビデンスが出るはずだ。さらに○○法には、特に有害な副作用はないのだから、選択肢の一つとして認められるべきだ』という趣旨の文章がありました。この考え方は、患者さんや利用者さんがリハビリに対して費やせるお金と時間が無限にある場合のみ成り立つ話です。普通の患者さんは、これらには限度があるので、『効果の無い○○法』にお金と時間を費やした分、効果の確立されたリハビリを受けることができません。この選択によって本来獲得できるはずだった身体機能が獲得できないことは明らかに顧客にとっては不利益です。これに『副作用』という表現が当てはまるかはわかりかねます。しかし、このような顧客の不利益に対して過度に大らかな意見には、私個人的には賛成しかねます。

 効果や安全性が確立されていない治療を薦める人や団体が一番悪いです。ですが、利用する側、セミナーなどに参加する側もサイエンス・リテラシーを身につけなければいけません。治療やセミナーが妥当なものか判断できなければ、例えばリハビリ職種であれば、自分や、自分の大切な人の身を危険にさらすのみでなく、あなたを頼ってくれる患者さんや利用者さんに不利益を与えることになってしまうからです。

というのが私がEBPTが大切だな~と考える理由の一つです。

追記:難しいな~と思うのが、NHKの番組自体も質がバラバラなことです。例えば『ためしてガッテン』のような番組でも、科学的に妥当な内容の回もあれば、だいぶ前に否定されたようなことを紹介してしまう回もあったりして、なかなか一般の視聴者の方には判断が難しいのではないかと思ってしまいます。偉そうに言う私も、リハビリや一部の整形外科疾患など、リハビリ周辺の分野以外がテーマになるとその回の評価はよくわかりませんし・・・( ;∀;)

腰痛などに関しては、理学療法士がしゃべっている回に限って、科学的に妥当でない感じだったりして心を痛めています。。。

本日も、最後までお付き合い頂きありがとうございました。 

  理学療法士  倉形裕史