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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

第5回十字軍1-「少年十字軍」の悲劇

2018.06.08 02:50

インノケンティウスの御世1212年「少年十字軍」の名で呼ばれる悲劇が起きた。ドイツではニコラス、フランスではエティエンヌという少年が聖地を解放せよ、という神の声を聞いたといってドイツで7千人、フランスで3万人の子供を中心とした民衆が動き出したのだ。

彼らはイタリアに到着して聖地をめざすとがんばる。放っておけないので教皇インノケンティウス3世がニコラスを説得し、事は収まった。しかしフランスのエティエンヌらは、聖地に連れていくと騙され、北アフリカに連れて行かれて奴隷商人に売られた。

インノケンティウスは十字軍を欧州内の異端にまで拡大して、信仰心を拡大したが、少年までヴァチカンに従わず動き出す事態を由々しく思った。そこで第4回ラテラン公会議で、ユダヤ教や異端を取り締まり、信徒にミサを義務づけ、新しい説教修道会を承認した。その上で、今度こそ聖地に向けた十字軍を提唱したのである。

インノケンティウス3世の死後、後を継いだホノリウス3世は、コンスタンチノープルを襲った第4回十字軍を反省し、ヴァチカン主導でまっとうな十字軍を行おうとした。ところが事情はそううまくなかったのである。

下はウージェーヌ・ジョデル作「少年十字軍」