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中国越境ECの商標トラブル

2022.02.22 07:00

日本で販売されている日本製品のほとんどは中国で製造されたもので.
中国で製造された「日本製品」は日本へ輸出され、また中国国内でも同じモノが「日本製」として販売されています.


それにもかかわらず中国人が日本へ行って中国で製造された「日本製品」を買っています.


中国で買うより日本で買った方が安いという理由もありますが渡航費を考えれば決して合理的な方法ではありません.



日本で買うことにこだわる理由は偽物です.
日本には偽物がないという安心感です.



中国で偽物に遭遇しないことはまずありません.
通販サイトには偽物が溢れ、デパートでも正々堂々と偽物が販売されています.
悪意で偽物を販売しているだけではなく、偽物であることを知らずに販売している場合もあります.
いまや中国で買う限り偽物を買ってしまうリスクを避けて通ることはできません.



日本で買えば偽物を買ってしまうリスクを回避することができますが、すべての人が日本へ行けるわけではありません.



越境ECが好まれる理由は、日本で販売されている商品だから偽物の心配をする必要がないこと、関税が課せられるにせよ日本へ行く渡航費に比べれば安く日本製品を入手することができること、でしょう.



中国の偽物事情を考えると、日本から中国の消費者へ商品を直送するという方法を検討しない訳にはいきません.



日本の企業が中国の消費者に商品を直送する方法は、これまで個人輸入に対して税率を軽減する簡易課税制度が適用されていました。
最近は中国人の個人輸入の利用が増えてきたことから、税率を上げたり税関での開封率を上げて税関検査を厳格化していますが、偽物を買うリスクを回避したいという心理に変わりはなく、越境ECを利用するケースが今後も増えていきます。


 


越境ECの商標トラブル


越境ECを使えば中国の消費者に直接、商品を販売することができます.


中国の個人相手に直接、日本から商品を輸出するだけだから、中国で商標を登録する必要はないと考える人が多いと思います.



しかし中国へ輸出する商品の商標を、第三者が中国で登録したらどうなるでしょうか.
中国で商標を登録した第三者は、商標権に基づいて日本から中国に輸入される商品の輸入差止めを中国税関に申し立てるかもしれません.



日本と同様、中国でも個人で輸入する小口の貨物には商標権の効力は及びません.
しかし輸入差止めが申し立てられた税関の職員は、それが個人輸入であるかどうかを判断することができません.



貨物の通関を一旦保留し、輸入者から意見を聞いてから個人輸入かどうかを判断します.
個人輸入であることを輸入者が主張立証できなければ通関はできません.


個人輸入を理由に商標権の侵害に該当しないと税関が判断するのは、個人輸入であることの証明に成功してからなのです.



中国海関法第28条 
個人が携帯して出入国する手荷物物品、郵送で出入国する物品は、自己使用のもので、適正な数量を限度とし、かつ税関の監督管理をうけなければならない


日本と違って中国の行政職員は決して親しみやすいとは言えません.
税関に行くのが面倒、税関に行く時間がない、など、諸般の事情で手続きを放棄する人もいるでしょう.


個人輸入であることを説明しても税関が認めてくれないこともあるでしょう.



通関トラブルが続けば、その評判は微博を通じて広まります.
通関リスクのある商品を買う中国人はいなくなるでしょう.



個人相手の越境ECであっても中国で商標を登録しておく方が安心です.


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