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発明とは既存のアイデアの新しい組み合わせ以外の何ものでもない

2021.10.20 16:49

「模倣」は、他人のアイデアをそのまま取り込むデッドコピー的な模倣ではなく、他人のアイデアを分析し、自分のビジネスに合わせて取り込むという模倣です。


 


今の世の中、他人のアイデアに依存せずに、独自のアイデアを考えだすことは到底不可能です。


全てのアイデアはすでにあるアイデアに依存せざるをえません。


 


特許の世界の話しをしましょう。


世界の特許の9割が大企業からの出願と言われています。


さぞかし先端的なアイデアが生み出されているだろうと思うかもしれませんが、実際は殆どの発明がすでにある発明を改良したものです。


 


新しいアイデアを創造することが立派で、改良したアイデアなんて大したことないと思わないで下さい。


先人が考えたアイデアを分析し、それに基いて改良したアイデアを考えていく、これが繰り返されて現在に至っています。


 


創造的な企業の代名詞と言われているアップル社でさえ、純粋に自社で創作したアイデアなんてありません。


すでにあるアイデアをアップル風に改良しているだけです。


アップル風に改良する方法が素晴らしいため、我々は斬新なアイデアだと思ってしまうのです。


 


ビジネスに失敗はつきものですが、失敗するリスクをいかに減らして新商品や新サービスを提供し続けることが求められます。


ビジネスを行ううえで必要なのは、研究ではなく開発です。


すでにある素晴らしいアイデアを模倣しながら開発していくことです。


 


優れた創作は模倣から始まる


模倣という言葉にはネガティブな意味が込めら、創作という言葉にはポジティブな意味が込められているのは洋の東西を問わず共通しています。


では模倣と創作とは一体何が違うのでしょう。


 


創作は、これまでに無かった新しいものを作り出すこと、という意味です。


何やら抽象的ですので、特許の世界から模倣と創作を説明してみます。


 


特許法は、創作した物やサービスに特許が与えられるためには、それが新規であり、かつ容易に創作できないこと、を要件にしています。


新規なものかどうかは、物やサービスを分解して従来の物やサービスと対比して判断します。


 


従来の物やサービスを分解した場合に、その物やサービスが、A、B、C、Dで成り立っているとします。


創作した物やサービスを分解した場合に、その物やサービスが、A、B、C、Eで成り立っていれば新規性があると判断します。


特許の世界では同一でなければ新規であると判断します。


 


新規であると判断された物やサービスですが、従来の物やサービスと対比して、わずかにDがEに代わっただけです。


これだけで新規であると判断されます。


新規なもの、つまり、これまでに無かった新しいものです。


 


模倣と創作の違いが僅かであることが理解できたと思います。


創作をしようとして従来の物やサービスを否定することはありません。


物やサービスが充実している現在では、従来の物やサービスと似ても似つかぬ物やサービスを創作することなど不可能です。


 


優れた創作をするために必要なこと、それは従来の物やサービスを模倣することなのです。


 


発明とは既存のアイデアの新しい組み合わせ以外の何ものでもない


毎日、大量の発明を審査している特許庁の審査官も、発明に特許を与えるかどうかの調査の基本は、すでに存在するモノがないかどうかを調べることです。


 


発明Xを審査する審査官の頭の中を紐解いています。


まず発明Xを分析します。


すると発明Xは、A、B、Cという3つの要素から構成されていることが判りました。


つぎに、要素A、要素B、要素Cが、今まで存在するかどうかを調べます。


 


特許庁は過去に出願された発明を蓄積したデータベースを持っています。


そのデータベースに要素A、要素B、要素Cが存在しないかどうかを調べます。


 


この結果、要素Aと要素Bはすでに同じ機能として過去に存在することが判りました。


一方、要素Cは過去に存在するC’というモノと似ていることが判りました。


 


つまり発明Xは、すでに存在する要素A+要素Bに、すでに存在するC’に似た要素を組合せたモノということになります。


 


特許庁審査官は、要素A+要素Bに要素Cを加えることに創作性があるかどうかを判断します。


この判断の結果、創作性があると判断されれば発明Xは特許されます。


一方、創作性がないと判断されれば発明Xは特許されません。


 


かりに創作性があると判断されて特許された発明Xも、分析してみれば、要素A、要素Bはすでにあり、要素Cもすでにあるものと似たものということになります。


要素A、要素B、要素Cが全て新しいモノでなくても発明です。


 


発明と聞くと才能に優れた一部の人が一生懸命に考えて創りだしたモノで今まで世の中に存在しなかったモノ、と思っている人がいるかもしれません。


確かにそのようなパイオニア発明もありますが、そのような発明は全体から見ればほんの僅かな数でしかありません。


 


発明自体は決して難しいものではありません。


実はすでに存在するモノの組合せで成り立っている発明が殆です。


もし発明をしてみようと思っているのであれば、すでにあるモノを調べて、それらを組合せてみることをおすすめします。


 



アイデアとは既存の要素の新しい組合せ以外の何ものでもない by ジェームス・ウェブ・ヤング