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特許権・実用新案権・意匠権を取得する目的をはっきりさせる

2021.02.14 19:40

特許の相談を始める前に、


特許を取得する理由を確認するようにしています。


 


企業の知財部から依頼がある場合は、


特許を取得する理由ははっきりしています。


 


それ以外の場合、


技術オリエントの企業も含めて特許を取得する、


このことが目的になっていることが少なくありません。


 


私が担当させていただく相談のなかに模倣品対策があります。


特許も意匠も商標もない状態から模倣品対策を始める場合、


一番重要なのはできるだけ早く権利を取得する、


ということになります。


 


技術だから特許という対応ではなく、


技術であっても、その技術を備えたプロダクトを観察すれば、


そこには機能がデザインとして具現化していることがあります。


 


機能がデザインとして具現化しているプロダクトなら、


特許ではなくて意匠の取得が最適です、と提案します。


 


日本では意匠に対するイメージが悪いのか、


特許と比べたデメリットがシェアされています。


特許に比べて、保護範囲が狭い、


特許に比べて、権利期間が短い、


特許に比べて、イメージが悪い、


などです。


最後のイメージ云々については、


もう意匠を貶めるための理由になってしまいます。


 


さて模倣品対策をこれからはじめようとする場合、


意匠のメリットは次のとおりです。


特許に比べて、設定登録までの時間が短い、


特許に比べて、設定登録される率が高い、


特許に比べて、取得費用が安い、


特許に比べて、権利範囲が分かりやすい、


などです。


 


設定登録までの時間が短い、


すぐにでも模倣品対策を始めたい場合は、


とても大切なことです。


 


設定登録される率が高いから、


確実に権利を取得することができます。


 


取得費用が安いから、


海外の権利化も可能です。


 


そして最後の権利範囲が分かりやすいこと。


相手に対して権利の存在を主張するときにとても大切なことです。


 


意匠は図面で権利範囲が決まっています。


図面を見せて似ている似ていないという判断、


これで相手と交渉することができます。


これは特に海外で模倣品対策を行う場合は重要です。


 


一方の特許、


文言解釈により権利が決まるため必ず揉めます。


 


権利者は文言を広く解釈し、


権利を行使される側は文言を狭く解釈しようとします。


日本語でも大変な特許発明の文言解釈は、


外国では翻訳の問題もあってさらに揉めます。


 


そしてもう一つ大事なことは、


意匠は無審査で登録される国があるということです。


海外の模倣品対策の最重要国は中国です。


中国は意匠を無審査で登録しています。


 


無審査というと権利の安定性が不安だ、


と思う人もいるかもしれません。


模倣品対策を行ううえで大事なこと、


これは権利が存在するということです。


 


模倣品対策において、


特許があれば完璧ということはありません。


 


完璧な権利を求めて特許を選ぶよりも、


完璧なツールがないという前提で、


意匠権を利用したポートフォリオを早期に構築した方が、


よい結果がでるのではないでしょうか。