中国に特許権がないのに業務提携するとどうなるか
中国企業からの業務提携の話があったとき、
慎重になって専門家に相談する人と、
すぐにでも取引を始めてしまいそうな人がいます。
私が関与できるのは相談をして頂いた人です。
でも職業がら、どうしてもリスクの話をしてしまいます。
なぜ業務提携先に選ばれたのかを相手側の立場から考えてみてください、
という問いから始めます。
うちには技術力があるから、
という回答になるでしょう。
似たような技術はありませんか?
競合他社はいますか?
という問いに対して、
似たような技術はある、
競合他社もいる、
という回答になることが殆どです。
相手の立場から考えると、
簡単に取引ができる相手を探している、
ということに注意してください。
業務提携のために、
多額のコストがかかる、
契約内容が日本側に有利、
契約手続きが複雑、
そして中国に特許権がある、
こういう相手とは業務提携をしたくないはずです。
「中国に特許権がある」
相手側のデメリットは次のとおりです。
業務提携はいつまでも続くものではありません。
有限期間です。
業務提携によって日本側の技術を取得してしまえば、
業務提携を続ける必要はありません。
さて業務提携終了後は、
日本から供与された技術を自由に使えます。
品質のよい製品の製造販売を自由に行うことができます。
中国に特許権がなければ、
相手の製造販売をコントロールすることができません。
良質な製品が安価に供給されるわけですから、
相手側に市場が占有されてしまうことになります。
中国に特許権があれば、
相手の製造販売をコントロールすることができます。
製造販売を続けたければ、
ライセンス契約をしなければなりません。
自由に実施することはできないのです。
業務提携の話がもたらされるとき、
業務提携終了後のことなど考えることはないと思います。
でも昨日の友は今日の敵になるように、
業務提携終了後の相手の行動を考えておいてください。