Crazy Stone(原題)
Crazy Stone(原題)
Crazy Stone(瘋狂的石頭)
2006年10月24日 TOHOシネマズ六本木ヒルズにて(第19回東京国際映画祭)
(2006年:中国:105分:監督 ニン・ハオ)
2006年夏に中国で大ヒットを記録した映画。日本での配給も決まっているそうで公開されたらまた観たい、高価な翡翠をめぐるドタバタ騒動。コメディとも言えるのですが、軽々としたというより、中国映画らしいどっしりとした、また出てくる人たちが、かなり個性的な人々ということで、どっしりとしたコメディ映画です。
ちょっとした文明批判にもなっていますが、あくまでも、翡翠=大金をめぐる大騒ぎを手際よく描きます。
経営が行き詰った工場を取り壊したところ、トイレの床から、なんと値がつけられないほど高価な翡翠が出てきたって所からして皮肉っぽいのです。
そして、それを展示する事にした社長、警備をまかされた元警察官の工場警備員、社長のバカ息子、こそ泥詐欺3人組、香港からやってきたプロの強盗、工場跡地を狙うやくざ・・・・もう、大変な騒ぎであります。
それが、少しずつ接点を持ちながら、テンションは下げずにかといって妙にテンポを上げることなく、翡翠の行方を描いたところが観ていて面白いのも確かなのですが、映画の構成力と物語を語る技に感心してしまうのです。
一応、主人公となるのは警備をする男で、本職の俳優さんはこの人だけで、他は演技には素人ばかりだそうですが、この映画のヒットにより皆さん、映画出演のオファーが殺到している、というのもこの映画の別エピソードみたいな本当の話です。
出てくる人たちの顔がいいですね。本当に悪い奴、姑息な奴、誠実な男、がめつい男・・・ぱっと見ただけでお人柄がわかるような個性をきちんと持った人たちなのです。そこがいいですね。
こそ泥詐欺たちの姑息な詐欺(コカコーラに当たりがあって~~なんて)、やっぱり出てきた本物そっくりの偽物の翡翠。どれが本物か、偽物か、ボールを取り合うゲームのようにごろごろごろごろしていくのですが、決して混乱はしない。
今ここで誰が何をしている・・・っていうのが、きちんと説明できているから混乱することなく、ヒッチコックの映画、特に『ファミリー・プロット』のような上手さ(あれも高価なダイヤモンドをめぐる話でした)があります。
舞台となるのは重慶の町。まだまだ古い町並みがあり、しかも翡翠の展示会はお寺でやるのです。妙にごてごてに飾り立てた展示場の様子もおかしい。
特に、これが主張だっと言うのは感じさせないのですが、金と欲に目がくらむと人間、ロクなことにはなりませんね、というちょっとした皮肉の空気がとても気に入っています。