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更夜飯店

MAXX!!! 鳥人死闘篇

2018.06.09 12:45

MAXX!!! 鳥人死闘篇

Fils du vent, Les

2006年9月4日 銀座 シネパトスにて

(2004年:フランス:90分:監督 ジュリアン・セリ)

 今から5年前、友人に誘われて試写で何も知らずに観た映画が、リュック・ペンソン監督プロデュースの『YAMAKASI』でした。

これは、運動神経、身体能力が優れていて、高いビルなどにするすると登ったりする7人の若者たちの話で、チーム名がYAMAKASI。

7人は、フランス人でも人種は色々。7人の個性とスタントを使わない大胆なアクションが新鮮で、こりゃ、いいもの観た!と大いに気に入り、帰り道友人に「この映画がキライとかいう人とはお友達になりたくない」なんて言った覚えがあるくらい、私はYAMAKASIが気に入ってしまいした。

 そして、そのヤマカシのメンバー、第二弾!!!と聞いて、行かずにいられるか。

でも、この『MAXX!!!!鳥人死闘篇』という邦題、なんだかなぁ。大体、~篇というのは、別の~篇があってこそではないかな。

それに、この’MAXX’もよくわからない単語。

まぁ、それはさておき、前作ではフランスで活躍というか、警察に追っかけ回されていたメンバーが、タイに飛びます。

最初に、さらなるヤマカシの新しいメンバーで、ビルの屋上の上で、ボール遊びで、ヤマカシたちの動きの凄さを映します。

ヤマカシたちは、別に犯罪など悪い事や喧嘩はしない、スポーツ感覚の若者たちですから、このシーンは「スポーツ」という見せ方で、よしよし。

 まぁ、タイに行くのは、タイでスポーツジムを開こうという話が突如、起きるからなのですが、ビルの上で、よし、行こうと決意する6人。

そして、ビルの外の風景がくるくるくるっと動いて、はい、もう、バンコクのビルの上。

映画を観ていて、何かおかしい・・・と思ったのは、この「6人」ですね。1人足りないのです。

 もともとヤマカシのメンバーの運動能力を使ってお話を作ろうというものなので、今回、ベトナム系のエース(チョウ・ベル・ディン)は役が変わってヤマカシのメンバーではなく、バンコクで妹と一緒に強盗の手先をしているキエン、という風に変わっていて、チョウ・ベル・ディンの実弟である、スパイダーだったウィリアム・ベルは、フランス人と中国人のハーフでおじいさんはタイのお寺にいた・・・なんて具合に、役やキャラクターを全く変えてあります。私は、このベトナム系兄弟がとても好きでしたね。今回、兄は最初はヤマカシメンバーの敵のような存在です。

 さて、純粋にジムをやろうとしていた6人は、バンコクでの日本のヤクザと中国のヤクザの抗争に巻き込まれてしまう。

今回、バンコクの市内をあの手この手で、飛び回るだけでなく、本格的なアクション、カンフー、ムエタイ技なんかを盛りだくさんにして、ヤクザ抗争まで描くのだからにぎやか、にぎやか。

 でも、設定はかなり無理があっても何故か、雰囲気妙に、きちんと真面目なのが不思議といい感じです。

監督のジュリアン・セリは、フランス映画にはめずらしい劇画のような映画を作りたかった、と話しているように、劇画タッチでもなんとなくフランス映画の真面目な所が、出ているのです。7人の個性よりも、7人が巻き込まれてしまう大格闘スペクタクルに焦点をあてていて、いきなりこの映画観た人はちょっと訳わからないかもしれませんが、私は、また違ったヤマカシのメンバーのあれこれが、面白いお話に変換されているのを楽しみました。

 日本人ヤクザたちが、乱闘では日本刀しか使わないとか、相対する中国マフィアたちは、鉄パイプしか持たないとか・・・東映ヤクザの世界と香港黒社会ものの世界が合体して、その間にフランス語を話すヤマカシたちが、くるくる巻き込まれる・・・というのは、そう滅多に観られる世界ではありません。

変に長々やらずに、テンポよく、見せる所はきちんと計算されたアクションとアングルでばっちり決めて、私は満足です。節度の具合がとても安定しています。変な暴走の仕方はしないのです。

それから、この映画の特徴は、映像の美しさ。色使い、光と影といったものが、とても綺麗にかっちりときまっている。特に色の使い方が、メリハリきいていて、観ていて感心してしまいました。