小説 op.5-02《シュニトケ、その色彩》上 【完全版】…破壊する、と、彼女は言う。
このところアップしていた、《シュニトケ、その色彩・上》の、無修正・完全版です。
かなり反社会的・反倫理的な言葉や描写が、後半、特に頻出しますが、繰り返しますが、それを書くのが目的ではありません。
まず、既存倫理や道徳のすべてが破綻したところから、はじめるためです。
方法であって、目的ではありません。
ですから、そのような表現に、何か可能性を見いだしていたりすることは、一切ありません。
問いただされていくのは、愛する、という行為であったり、倫理的決断をしようとすること、それ自体です。
全体は、上・中・下に分かれます。これは、全体の5分の1くらいの分量になります。
また、それぞれのパートの間に、短いインテルメッツォを挿入して行く予定です。
次のインテルメッツォが終ってから、物語はいよいよ錯綜して行くことになります。
最初に言っておくと、《上》で描かれる殺人事件の、最終的な解決偏は、《下》で描かれることになります。
《上》の内容を要約すると、こんな感じです。
《わたしは、破壊する。…そう、彼女は言った。》
ベトナム、中部の町ダナン。亜熱帯の太陽の下で、ある一家が惨殺された。
犯人はその末っ子の少年らしいが…
退廃的な日本人女が哄笑し、中国人マフィアは外国人右翼部隊を組織する。
画策される国家転覆。首相官邸爆破。
そして《私》は、国を売ることを要請されるが…
あらゆる倫理の崩壊した風景の中で、
錯綜するさまざまな言葉の群れに耳を澄ませる連作第一編。
若干やばめの哲学小説。
一応、最初に断っておきますが、ブログ版と違って、伏字部分も全部そのままですから、結構、どぎついです。
とはいっても、マルキ・ド・サドとか、ジャン・ジュネに比べれば、別にお子ちゃま程度、ではあります。
…読んでいただいた方が、楽しんでいただけたり、何かの刺激を受けたり、あるいは、いまだ見たこともない風景を予感する事ができたなら、とても嬉しいです。
2018.06.10
Seno-Le Ma