No.70 AIイラスト問題 規制が進む一方で
こんにちは、鬼川こるくです。ご覧いただきありがとうございます。
【🍄はじめに🍄】
以前もお伝えしました通り、基本的に楽しい話をお届けしたいのですが、AIの規制が進む一方で推進も加速しているような状態で、触れないわけにはいかない状況だと判断し今日も話させていただきます。
前回の記事の最後で予告しました、「自身のピクシブアカウントの今後の方針」や、「情報収集する際は偏らないようにしようと思った話」についても織り交ぜて話して参ります。今日は長文になります。興味を持ってくださった箇所だけでもかまいません。お付き合いくださいましたら幸いです。
まずはじめに、このAI問題を取り上げる理由は、現在苦しんでいる同じ界隈の仲間達や未来を担ってくれる次世代の方々、そして自身を守るためだけでなく、拙作の時代劇BL漫画『華咲け!お江戸黒咲家』や、イラストを好きになってくださった方々に対して、私は現状の画像生成AIは一切使用しておりませんし使用する予定もありません。と再度はっきりお伝えするためというのもあります。
ネットを見ていると結構、好きな作家さんがAIを使い始めたらショックだ、と考える方が大勢いらっしゃることを知りました。
私は2022年7月末に約3年間活動していたTwitterアカウントを悩みに悩んで削除し、ピクシブでの活動に移しました。ピクシブには、Twitterで投稿した作品と同じものを時々投稿してはいましたがピクシブへの投稿数は少なく、Twitterアカウントを削除してから本格的に活動するつもりでした。
その矢先の2022年10月にイラスト系の画像が生成できるNovel AIが登場して事態が一変。ピクシブはAIの無断学習の温床になる恐れがあることが分かり、それ以降ピクシブでの投稿を控えております。
そのため、ピクシブでの活動実績が少ない現在の私の発信力はほとんどありません。Twitter時代もそんなにフォロワーさんが多かったわけではありませんが、優しい方々に恵まれ、恐らくTwitterで真剣に発信していたら共感してくださった方々もそれなりにいたように感じます。
何を言いたいかと申しますと、現在の私は自分の声をお届けできる範囲が限りなく狭いですが、過去に応援してくださって今も気に掛けてくださっている方々、現在進行形でイベントに参加したり電子書籍を配信しておりますので、最近私の作品を知って好きになってくださった方々など、
潜在的にはファンと呼ばせていただけるような方々が意外といるかもしれないことは意識しなければならず、こうして当サイトを読んでくださっている皆様に「私は現状の画像生成AIを使うつもりは一切ない」と安心していただくためにこの記事を書いております。
個人的には現在の、まったりやっているところにひょいっとサイトやピクシブを覗いてゆっくり楽しんでいっていただけるような、隠れ家的な立ち位置も案外心地よくて自分には合っていまして、それでも私の作品の存在をどこかで知って読んでくださったり、好きになってくださったとしたら本当にありがたいことですし、心から感謝しております。
(実はTwitterをやめた後、noteにも2つだけ記事を投稿したのですが、これから、と思った矢先にAI問題が勃発し、なんとなく投稿しづらくなって当サイトのみでの発信が続いている状態です。もしnote経由で来てくださった方がいましたら、更新せずすみません💦ありがとうございます!)
【🍄ピクシブアカウントについて🍄】
私のピクシブアカウントは二つあります。
一つ目のアカウント名は「鬼川こるく」
一次・二次創作のイラストを投稿したり、一次創作漫画(創作男女)などを投稿する用のアカウントです。
このアカウントの投稿作品は現在すべて非公開にさせていただいています。その件につきましては後述させていただきます。このアカウントへの投稿作品は当サイトの過去記事にも載せておりますのでよろしければご覧ください。
No.47~49あたりに掲載しております。
二つ目のアカウント名は「暁カカオ」
暁カカオはサークル名で、BL漫画専用のアカウントです。便宜上こちらはイベントに参加する際のサークル名で名乗らせていただいています。
こちらのアカウントは非公開にしておりません。こちらもどうするか迷っていたところ、今回のAI作品に対するピクシブさんからの発表があり、非公開は見送らせていただきました。
二つアカウントがある理由
元々少女漫画からスタートしておりまして、過去に少女漫画系の出版社に何社か持ち込みをした結果、全ての編集部で「これは少年漫画だね…少年誌にいってみたら?」とアドバイスをいただきました。
そんなばかなと思いつつ少年誌に持ち込みに行ったところ、その編集部さんでご縁をいただいたのが始まりです。結局そこで一度挫折することになったので自慢話でもなんでもありませんが…。
その後、BL漫画に目覚め、個人での活動にも目覚め今に至ります。
このように最初からBL漫画を描いていたわけではなかった名残からアカウントは二つあります。
【🍄非公開の理由🍄】
現在、アカウントを非公開にさせていただいている理由は、先日の5月6日頃から有名な絵師さん達が続々とピクシブで作品を非公開にしているということを知り、この機会に私も、AI作品への対応改善を願って追従させていただきました。
元々新規投稿をしないという意思表示を半年も前から示しておりましたので、良い機会だと思いました。そっと投稿を控えてきたこれまでとは違い、ピクシブではっきり意思表示をするのは勇気がいりましたが、一気に事が動いて、小さな声でも一緒に上げさせていただけて良かったと思っております。
今後の方針
とはいえ、せっかくフォローしてくださっている方々に申し訳ないという気持ちも強くあります。ピクシブがAI作品の収益化一時停止の対策を発表してくださったため、とりあえず見境なくAI学習の材料に使われる危険性は少し減少したかなと感じております。
それまでは悪化の一途をたどっているような感じがして、お金儲けのために既存の作品をどんどん素材扱いにして学習させりゃいいといった空気も感じましたし、新規参入者も増えていたように思います。
そして、案外有名どころの他にも狙われたりするかもと危機感を募らせていて、やむを得ない、そろそろピクシブから完全撤退するか…という考えも一瞬よぎっていました。ですが、今回の運営さんからの発表を受けてそれは見送ろうと思いとどまりました。
まだしばらくの間は様子を見させていただき、いずれ非公開は解除し、AI無断学習対策もしながら徐々に二つのアカウントへの投稿も再開していけたらと考えております。ご迷惑をおかけしておりますが、今後も何卒よろしくお願いいたします。
【🍄続々と進むAI規制や問題提起🍄】
そしてまずは明るいニュースからです。
前回の記事で、ピクシブファンボックスとファンティアでAIイラストの収益化が当面のあいだ禁止になったことをお伝えしましたが、その後Ci-en(シエン)とDLsite、そしてピクシブリクエスト、そしてとらのあな(電子書籍)でも一時停止が発表されました!
これは信じられない程の急展開で、素直に嬉しい出来事です。
更に、EUの欧州議会では先日の2023年5月11日、AI規制案が承認されました!!
それはこちらの記事です。
この決定がなされた以上、日本だけが無視をするというわけにはいかなくなるでしょうから、いずれ日本にもこの影響は出てくることと思います。
また、先月の2023年4月27日、NHKニュースで画像生成AIの問題が取り上げられました。勇気を持って出演してくださったクリエイターの方や、支援してくださっている方々に感謝しかありません。
これまで国内で報道されるのは「AIで絵が描けるようになって楽しい」といったメリットだけを取り上げた偏向報道ばかりで、なかなか業界外の方々に正しい情報が行き届かず歯痒い思いをしていました。
人気タレントさんが無邪気にAIイラストすごいすごいとはしゃぎ、その番組を見た視聴者さんもまた無邪気に楽しむ…。世界ではその危険性に対して著名人も参加して議論が活発に進んでいる中、あまりにも違い過ぎる国内の様子に危機感を覚え、テレビ局に人生初めてクレームを入れたこともあります。悪用されればタレントさんにも危険が及ぶので安易に番組で扱わないでくださいと…。自分がクレームを入れる日が来るとは思いませんでした。
その他にも文化庁に著作権に関する意見書を送ったり、署名活動に参加する等、少し時間を割くだけでできそうなことは自分なりにしておりました。なかなか結果を得ることはできませんでしたが…。
そんな状況でしたので、初めて画像生成AIの問題にしっかり向きあった今回の報道の影響はとても大きく、私の周辺でも業界外の知人が数名「AIイラスト問題のこと知らなかった、やばいね」と声をかけてくれました。ようやく事態が動き出したと実感しています。
記事も貼っておきますので、よろしければ後でご覧くださいね。
またイラスト界隈だけでなく、いよいよ俳優業界からも声が挙がり始めました。
こちらは西田敏行さんが理事長を務めていらっしゃる「日本俳優連合」からのお知らせです。その次の記事は日本芸能従事者協会さんが会見を開かれた際のものです。よろしければご覧ください。
【🍄問題の本質🍄】
こうしてようやく少しずつ希望の光が見えてきたわけですが、その一方で、この問題の本質を知らず、偏向報道があふれている環境では仕方がないものの、イラストレーター達は職を奪われないために必死になっている。どうせ時代の流れには逆らえないのにといった論調を度々見かけます。
確かに職を奪われないためという部分もありますが、この問題の本質はそこではありません。この画像生成AIの成り立ちが、世界中の人々の、それはクリエイターに限らず、全ての人々の著作権・肖像権・人権侵害等の問題に関わるからです。
というのも現在出回っている画像生成AIの基礎となっているのは、Stable Diffusion(ステーブル・ディフュージョン)で、ドイツで研究用に作られた画像データセット、LAION-5Bから学習して誕生した画像生成AIです。
このLAION-5Bには、約58億枚もの画像が含まれ、その画像の大半がネット上で回収された著作権で保護された画像です。そして、医療記録や戦争写真等、機密性の高いデータも含まれているとのことです。当然、商用利用はNGです。
この研究目的のためだけに収集されたLAION-5Bを使ってStable Diffusionは誕生したわけですから、本来一般公開などありえないのですが、どういうわけかオープンソースで公開されてしまい、なんの免許もいらず、無料で、しかも商用利用も可能という謳い文句で誰でも使用できるような形で世に出てしまったことがことの発端です。
しかも非営利団体を間に挟み、研究目的として著作物を収集することで著作者に対して正当な対価は一切支払われておりません。
世界中から集められた、著作者から許可を得ていない画像を使ったAIを、商用利用可で誰でも使っていいですよと公開してしまうのは、めちゃくちゃな話ですよね。絵描きや写真家さんにとってはテロにあったような衝撃だと思います。当然このような理由からStable Diffusionを開発したStability AI(スタビリティーAI)は訴訟もされています。
そしてこのStable Diffusionを基礎として出回っているのが現在の画像生成AIでして、これはもう、悪用するとかしないとかの問題ではなく、一度しっかり規制して、AIを利用したい方も安心して使えるような、クリーンなAIが開発されるのを待ち、盗作や悪用がないよう法整備やルール作りがしっかりされるのを待たれると良いのではないでしょうかというのが私の一意見です。
【🍄現在起きていること🍄】
そして、成り立ちだけが画像生成AIの問題ではなく、現在はAIの進化によりイラスト界隈以外の、小説や声優、ゲーム、動画、コスプレ、音楽、俳優業界等にまで被害が飛び火し、それどころか一般の方々のポルノ画像(成人女性や児童)までもが一瞬で作られ販売されているような状況です。
声を悪用してオレオレ詐欺の被害が海外で発生したというニュースも少し前に見たので更に被害は深刻化しているかもしれません。
画像の悪用に関してはこれまでにもやろうと思えばできた技術ですが、クリエイター達はそのような悪用をせず社会の秩序や文化を守ってきました。というか、作品をつくることに夢中でそんなことに興味もないというのが大半だと思います。
ですが、画像生成AIの登場によって、技術習得にかかる時間や労力は取っ払われ、誰でも簡単に悪用しようと思えばできてしまうというのが現在私達が置かれている社会の状況です。
直視するにはなかなか深刻な問題ですので、私のように一旦情報を遮断する時期を持つなど心を休めつつ、ご自身や大切な方々を守れるよう頭の片隅にこの情報を入れておいていただけるとありがたいです。
【🍄規制が進む一方、推進も加速する日本🍄】
ここからは、正直私の価値観では全くよくわからないことが起きていまして、日本ってこんなだったっけ…?と首をかしげる日々です。
たとえば、今回のAIの件で、イラストレーターと漫画家の違いが大きく出たといいますか、あの大手出版社の集〇〇がどうもAI推進派のようで、チャットGPTを活用してつくったストーリー相談アプリも公開されましたし、漫画家の中には現状の画像生成AIを使っている方もちらほらいらっしゃって物議をかもしています…。
うーん…触れにくい…!
私は漫画なら安全とは考えていませんし、背景画家さんの著作権侵害にも関するので背景ならAIで生成してもオッケーとも思えず、こうして微力ながら声を上げさせていただいていますが、推進派と反対派が入り乱れてなんだかよくわからないことに…。
その他にも、ラインで簡単にイラストがつくれるAIイラストくんなるアプリが最近リリースされ、まだ招待制で全員が使えるわけではないようですが、このAIイラストくんも基盤になっているのはStable Diffusionで、権利関係ブラックなものです。
そして規約を読んだらかなり怪しい感じでして、一部抜粋して引用させていただくと『紛争等が生じた場合には、ユーザー自身の責任と負担においてこれを解決するものとします』とあり、
『本画像の利用者様等によっては、本画像の利用に関連して、第三者が著作権、パブリシティ権、肖像権等に関する主張をする可能性がある』とのことです。
だから、なぜ、そんな危険なものを…。
その他にも不思議に思う件が多々あるのですが、きりがないのでこの辺にしておこうと思います。
【🍄情報収集をする際に偏らないよう気を付けたいと思ったこと🍄】
このように、自分にとって良い情報だけでなく残念に思う情報にも触れていくと、どうしてもそれが世の中の総意のような錯覚に陥り、「日本終わった…」といった極端な結論に至ることがあります。
私は作風からして「日本大好き!」みたいな人間ですので、今回の騒動で露呈した、モラルの問題を目の当たりにして、ショックを受けているのは事実です。ですからこのような情報をネットで目にするうちにだんだんと極端な思考に陥り、
「そこまで落ちぶれるならとことん落ちてしまえ。腐っていくところを見届けてやるぅぅ😢」などと心の中で暴れたりして一瞬視野が狭くなりました。笑
ですが、それはやはり私の思考が勝手に暴走しただけで、ふっとネットから目を離し、周りの友人や職場の人、家族を見渡して深呼吸をしてみると「まだ終わってないわ…」ということに気付きました。
やはりネットには極端な意見が多い、というのはあると思います。それに少数派の意見であっても一人が多く書き込むことで多数派のように見えてしまうことも起きますよね。SNSのいいねやフォロワー数は買うこともできるので、印象操作も簡単にでき、改めて情報を受け取る際は気を付けようと思いました。
ということで今日は以上になります。
こんなにも長くなってしまいましたが最後までお付き合いくださりありがとうございます!
少しでも何かのお役に立てましたでしょうか。
また原稿が完成して、印刷ができたり電子書籍の配信準備が整いましたら当サイトでお知らせさせていただきます。しばらく更新が滞ったら原稿に集中しているんだなと受け止めていただけますと幸いです…。
今日も読んでくださってありがとうございました。次回からは明るい話をたくさんしていきたいです。あなた様がこれからも笑顔で過ごせますよう祈っております♪
それではまた…!
【🍄2023年5月16日追記🍄】
せっかく明るい感じで一旦締めさせていただきましたが、この記事を書いた直後に知ったことがありまして、この画像生成AIの件で、国内のイラストレーターからまた一人、ご自身の手で旅立つ道を選んでしまった方が出てしまいました…。
私は途中、あえて情報を追っていなかった時期があるので正確かは分かりませんが、私が知る限りではこれで3人目となります。
悲しくて悔しくて仕方がなくて、ごまかしきれないくらい怒りも感じていて、もういい加減うんざりです。
でも、それでも視野を広げれば絶望を感じるのはまだ早いと思えるだけの希望の光もあります。今回旅立ってしまった方と同じくらい苦しんでいらっしゃる方がいるとしたらお願いですからその道だけは選ばないでください。顔も名前も知らないお方だとしても、本当にあなた様の命を大切だと思っています。涙が溢れて仕方がない。本当にそれだけはやめてください。
すでに絵描きだけの問題ではなく、幅広い分野で苦しんでおられる方がいます。一人ではありません。どうかこの悲しい決断だけはやめてください。よろしくお願いいたします。