「宇田川源流」【現代陰謀説】 なぜNATOは日本に事務所を置くのか?
「宇田川源流」【現代陰謀説】 なぜNATOは日本に事務所を置くのか?
毎週金曜日は「現代陰謀説」をお届けしている。現代に横たわる陰謀を見ながら、その内容をどのようにして、ニュースなどから端緒を見つけることができるかということを考える内容になっているのである。実際に、陰謀は様々な所で行われており、その内容をいかに感がてえゆくのかということをしっかりと見ていなければならない。全く表面に出ない陰謀などもあるが、実際は、ニュースなどに何か端緒が出ていたり、あるいはニュースに何かか隠されているようなことも少なくないのである。それを、読み解くために何をすべきかということを考える連載である。
さて、今回は「NATO」の関係の話であり、日本人には、しっかりと説明すれば当然に理解できるのであるが、一方で日本人は、戦後「地政学」などを学ぶことはないし、また、地球儀を見あがら世界を学ぶことは少ないので、「世界」という観点を「地球」という丸い惑星の単位で物事を考えることができないようになってしまっている。そのことから、日本人はなぜか世界戦略が全くできない集団になってしまっているのである。
数年前の国会で、野党系の議員が「北朝鮮がワシントンに向かってミサイルを撃てば、東京の上空を通る」ということを発言して話題になった。メルカトル図法であれば、東京であるかどうかは別にして、少なくとも関東の上空を通ることになるということを主張したのである。そのうえで、北朝鮮のミサイルが秋田屋北海道の方に向かって飛んでいるのは、福島原発を狙っているとか日本が狙われているからと言い出したのである。
これに対して、当時の防衛大臣は「地球は丸いのでメルカトル図法のように平面ではないですから、最短距離を結べば日本の東北上空を通ります」と答えた。実に恥ずかしい質問である。地球は丸いのであるが、残念ながら野党の議員の、少なくとも質問した方に関しては、地球は丸いという当たり前のことがわからないで国会議員になってしまったようだ。一応名誉があるので、名前は伏せさせていただいた。
さて、私の高校の大先輩にあたる神津善之氏が、講演で言っていたが、その先輩であるフランキー堺氏と話した時に、彼らが高校時代であるから今から60年くらい前であるが、新宿の高層ビル群を描けといったという。普通に長方形の建物を描いたときに、フランキー氏は「地球は丸いのに、なぜ建物は平行に書かれているのか、本来は、空に向かって徐々に離れているはずであろう」ということを言ったという。「そのように書けと言っているのではなく、そのようなことを認識したうえで書いたかどうかを解いているのである」ということだそうだ。
そのように物事をしっかりと「わかったうえで書く」人がいるかどうか。そのことがわかっていないと、この野党議員のようになってしまうのである。
「NATO日本事務所」中国反発
NATO=北大西洋条約機構が日本連絡事務所の設置を検討していることについて、中国政府は反発した上で「日本が真剣に歴史の教訓をくみ取り、地域の平和と安定を損なわないよう促す」と日本側をけん制しました。
NATOは日本との協力を強化するために東京に連絡事務所を設置する方向で協議を進めています。
これについて中国外務省の汪文斌報道官は12日の記者会見で「アジア太平洋地域はNATOの地理的範囲ではなく、アジア太平洋版NATOの創設は必要ない」と反発しました。
中国外務省 汪文斌 報道官
「日本が真剣に歴史的教訓をくみ取り、平和発展の道を堅持し、地域国家間の相互信頼を破壊し、地域の平和と安定を損なわないよう促す」
また、日本に対してはこのようにけん制した上で「本当にNATOの急先鋒になりたいのか」と疑問を呈しました。
2023年05月12日 20時06分TBS NEWS DIG
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12198-2332359/
NATO日本事務所の計画批判=ロシア
ロシア外務省のザハロワ情報局長は10日の記者会見で、北大西洋条約機構(NATO)が日本に連絡事務所の設置を検討していることについて「アジア太平洋地域に(反中・反ロをあおる)足場を築く世界的な野心と計画があるという新たな証拠だ」と批判した。
その上で、事務所の設置は「地域の軍事化とブロック対立の激化につながる」とけん制した。
2023年5月11日 5時39分 時事通信社
https://news.livedoor.com/article/detail/24211985/
さて、1904年、明治時代の話だ。欧米列強と肩を習えるべく産業改革を行い富国強兵を行ってきた日本は、南下政策をとなえるロシアと朝鮮半島や遼東半島をめぐって対立することになる。その時に、時の桂太郎内閣が選択したのが「日英同盟」である。さて、現在の日本の人々であれば「ロシアと戦うのに、なぜ遠く離れたイギリスと同盟を結ぶのか」というようなことを言ったのであろう。実際に、イギリスは「同盟」をしながらも軍をロシアに向かって出すことはなかった。しかし、イギリスと同盟を結んだことから世界最強と言われたバルチック艦隊がイギリス保有の港に寄港することができず、そのことからシンガポールなどを経由せずに日本海に回航し、その弱っているところを日本海軍が打ち破ったのである。
まさに日英同盟は、ロシアを挟んだ世界同盟であり、なおかつ当時にイギリスの海軍力をもって、その海軍の寄港先などをすべて封じた同盟であるということで、日本の戦略が誉められた状態であった。当然に群を出してもらうなどの話はなく、また、イギリスが同盟であったことからアメリカのポーツマスで条約が結ばれることになったのである。
さて、今日その日露戦争と全く逆になっている。ロシアはウクライナ、つまりEU・ヨーロッパの方向に向かって攻め込んでおり、その目は「NATO」を敵視しているということになる。この敵対関係に関して「NATO」は、日本との同盟関係を望んだのである。まさに、居間から120年前の日露戦争の時に日英同盟を行ったのと同じ内容であるということになる。
さて、この内容に対してロシアがクレームを言うのは良くわかる。歴史を学んでいれば、これが憲法9条があるから同盟とはならないが、しかし、日英同盟と同じ効果であってロシアにとって不利に働くことは歴史が教えてくれる話になる。日本は軍備がないなどと言う話はないし、また、日本が本気なればロシアより強かったことは歴史の通り、もちろんアメリカも来ることになるのでロシアにとっては危機であろう。クレームを言うのは当然だ。
では、なぜ中国が便乗してクレームを言うのか。
ここに本日の「陰謀説」の話がある。
中国は、台湾侵攻をもくろんでいることは間違いがないが、それだけではなく、日本も攻めようとしていたのであろう。この時に日本を攻撃すれば、「NATO」も日本の味方になる。つまり、日本を攻撃すればアメリカとNATO両方が中国の敵になるということを意味している。同時に「ロシアと同盟を結ぶ」ことのリスクも非常に大きな懸念材料になろう。そのように考えれば、今回のクレームの意味が分かるし、また数日前のブログで「イタリアが一帯一路から離脱する」ということを描いた内容も見えるのである。
逆に言えば、NATOは当然に日本や太平洋の危機をわかっていたということになり、そのことがイギリスの空母がシンガポールをはじめとしたイギリスの同盟港に回航した理由もわかる。
つまりこのような内容から、中国の狙いが見えてくるしまた日本は中国に攻撃される前提で物事を考えなければならないということが明らかになったのである。