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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

第5回十字軍7-聖地奪回またも脱線

2018.06.13 02:24

1217年秋、第5回十字軍は、聖地の前線都市アッコに到着した。しかし現地としては双方信徒ともあまり戦争などやりたくない。聖地巡礼には障害もなく、イスラムとの交易もすすみ、十数年の平和があった。何を今更というわけである。アイユーブ朝スルタンアル・アーデルは73歳である。

軍はエルサレム王ジャン、キプロス王と共にエルサレムに進軍するが、ダマスカス領主アル・アッザムは、先手を打って城壁を破壊して住民を退避させた。実はエルサレムは16世紀まで城壁がない都市なのである。十字軍も小競り合いばかりでらちがあかない。とうとうハンガリー軍は帰ってしまった。

年末、一旦十字軍はアッコに帰り、今後の方針を検討した。そのときケルンのオリヴァーという聖職者が援軍をひきつれて到着し、ヤル気の失せかけていた十字軍に火をつけた。彼も交えた会議で、敵の本陣であるエジプトの攻撃が決まった。またもや聖地奪回から的がそれた。

実はこの決定には、スポンサーであるジェノヴァが絡んでいる。ジェノヴァのライバルであるヴェネツィアは、エジプトと協定を結んで、攻撃のための船は出さない。第4回十字軍も脱線させた。ジェノヴァは、この通商関係を崩したかったのである。またしてもイタリア都市にひきづられたわけだ。

下は十字軍に出発するハンガリー王