雨雲の果てに夏至の光。
Naoyaです。
今日は二十四節気の10番目、夏至です。夏の中心に当たる節気。北半球では日の出から日の入りまでの昼の時間が一年でもっとも長く、太陽が一番空高く昇り、陽のエネルギーがもっとも高まる日です。夏至は十二星座の蟹座の始まりでもあります。蟹座は水のエレメントの星座。そして今、日本は梅雨で、しっとりと雨雲に覆われたシーズンの真っ只中です。
冬至の翌日から徐々に延びてきた日も夏至でピークを迎えて、明日からはまた徐々に短くなっていきます。日本はこれからもっと暑くなり、夏の本番はこれからという感じですが、日の長さはどんどん短くなって、陽のエネルギーは弱まっていくのです。ちょっと寂しいです。
さまざまな夏至祭が世界各国で執り行われますが、ヨーロッパでは全体的に以下のような特徴があるそうです。
- お祭りが執り行われるのは夏至か聖ヨハネの日(6月24日)のあたり。
- 薬草や朝露を神聖なものとして崇める。
- 花や葉で冠をつくって一年の健康を祈り、祭りの後に川へ流して将来を占う。
- 焚き火を焚く。
- 男女の縁結び、占い。
夏至前夜に摘んだ薬草には特別な効果があると言われ、セイヨウオトギリ草(セントジョーンズワート。精神安定や不眠に効果がある薬草)を夜、枕の下に入れて眠ると夢の中に聖人が現れて、ご加護があるとも言われているそう。
イギリスのストーンヘンジでは有名な夏至のお祭りが執り行われますが、あれはドルイド教の男性神と女性神の出会いを祝うものとされています。
ギリシア北部では未婚の女性が無花果(イチジク)の木の下に自分の持ちものを置くと、夏至の魔法で将来の夫の夢を見るという言い伝えがあるそうですが、日本の尾張地方では無花果の田楽を食べる風習があるそうです。無花果は夏至と何かしらの関係があるのかもしれません。
フィンランドだと無花果ではなく、古いリンゴの木の下に座ると未来が見える…みたいな風習なのだそう。ラトビアでは菖蒲の茎で来客を叩くとか、日本と同様に菖蒲湯のようにお風呂に入れたり、枕の下に入れたりするのだとか。
国によって風習が微妙に違うので、調べてみると面白いです。
西洋では夏至を境に日が短くなっていき、夜がどんどん長くなっていくため、悪い霊が歩き回るとも信じられているようです。昔の人にとって夏至は、どこか神秘的な超自然現象だったからこそ、そんな言い伝えが生まれたのでしょう。
日本での夏至は冬至と比べて、あまり盛り上がりを見せません。夏至の祭事や行事をやるところもありますが、西洋ほど大々的なお祭りはありません。その原因は夏至が梅雨の真っ最中なので、光や陽のエネルギーを感じにくいことかもしれません。あと、日本は冬の間でも、北欧ほど日照時間が短くないことも理由だと思います。天照大御神(アマテラスオオミカミ)という太陽神が国民の総氏神として祀られ、日出ずる国という考えの元に日の出の太陽を象徴した国旗を掲げる国だからこそ、常に太陽が身近に存在するという意識があるからなのかもしれません。
日本では夏至が過ぎた6月末に「夏越の祓(なごしのはらえ)」という伝統行事があります。旧暦のときは6月に、新暦に移った今も6月末頃に日本各地の神社で執り行われる行事です。これは半年に一度の厄落としとして、12月末の「年越の祓」と対になっているもので、心身を清めて、また新しい半年を過ごすための大切な神事です。
千萱(ちがや)という草で編んだ大きな輪をくぐって厄落としをする「茅の輪くぐり」や、人の形をした白い紙「人形(ひとがた)」に名前や年齢などを書いて、それで体を撫でて罪や穢れを移して、身代わりとして神社に納め、川に流したりお焚き上げをするなどして、心身の穢れを祓う「大祓(おおはらえ)」という神事を行います。
昔の日本では夏の夜が短いさまを「短夜(みじかよ)」と言って、夏の夜の逢瀬の短さを嘆いた歌が詠まれていました。西洋の夏至は日の長さを喜ぶものの、日本では夜の短さを嘆くというのも、日頃から太陽の恩恵を当たり前のように受けられる国だからこその発想なのでしょう。
夏至。日本は梅雨の真っ最中で、天気がスッキリとしにくいですが、陽のエネルギーがもっとも強い日であることには変わりありません。雨雲の果ての光の存在を感じてみてくださいね。