Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

KiKaChi王 Official Site

【歌詞】かか/最後の神隠し『選択』

2023.05.17 20:06

最後の神隠し『選択』

    作詞/曲:知花嘉嘉


僕が可愛いと言ったので

かなり照れたみたいで君は

お面を頭にずらして

顔を見えるようにしてくれた

「まあとにかくそんなことはどうでもいいから聞いてね。狐様は人を食べる。あなたのことも食べるかも。」

「いや待ってよ、突然そんなこと言われてもやっぱさ、、」

「いやだからさ、話聞いて?もう!あなたは悪い人ね!」

え?

「君は何でそんなに怒っているの?」

「うるさい!あなたみたいな人は死んじゃえ!」

「あ、もしかしてちょっと照れたりしてるのかな?」

「違うよ!私が可愛いなんてそんな、、」

君は恥ずかしそうに笑って

僕の目を見て話し出した

「とにかくあなたは食われる。それが嫌でももう助からない。だけどそれを回避する唯一の方法があるの。」

「どういうこと?助からないみたいなこと言ってたでしょ。」

「助かりはしないよ。ただ食われないってだけの話。」

その時風が吹いて周りの木々がカサカサとなった

「じゃあその食われない方法を教えてくれないかな?」

「いいんだけど、私はお勧めしない方法だから。それにちょっと怖いかもよ?トラウマになるかもしれない。」

「わかった。それでいいから教えて頂戴。その方法。」

すると君は無言で神社を指差して動かなくなった

そして突然

閉まっていた神社の扉が開いた

嗚呼

扉の先にいたのは狐のお面をかぶった

着物を履いている人たちだった

「この人たちの仲間入りすればいいよ。」

神社の向こうには広い村があった

「何これどういうことなの?」

僕は目の前に広がる和風で華やかな村に

圧倒されてしまったんだ

「この世界に『外』は無いの。この村だけが世界なの。」

「どういうこと?この人たちは何なんだ?人間でしょ?」

「このお面をかぶった人はだんだんと記憶が消える。それに嫌なことに、感情とかも消えてしまうのよ。」

「じゃあ僕はそのお面をかぶればいいわけ?」

「いや、狐様に食べられるのもありだよ。選んで?死ぬか、感情が消えてしまうか。」

君はお面をどからか取り出した

「いや、そんなの僕は決められないよ絶対。」

「それでも決めないといけないの。ごめんね。でも私からのお願いは、食われて死んで欲しい。」

「さすがに死ぬのは嫌だって言ってるじゃん。」

「ねえいい?聞いて。私はもう見たくない。一人の人間が一つの人形になるのを。」

君はいつの間にか涙を流してたんだ

「私は最初、死ぬよりはマシだと思って、、」

そこで君は口をつぐんだ

「何でもない。やっぱりあなたが好きなようにしていいよ」

僕はずっと考えてたんだ

「じゃあわかった。本当にそれ以外の方法はないの?」

「うん、無いはず。この二択のどちらかを選ばないとね。」

「うん。やっぱり。じゃあ決めたよ。僕は生きて逃げることにする。だからつまり、そのお面をつけることにするよ。僕は。」

「わかったよ。それじゃ、このお面をつけて頂戴。」

「わかった。ありがとう。僕の気持ち受け入れてくれて。」

僕は君の目をまっすぐに見て言った

「ありがとう?こんなことで私に感謝して!」

嗚呼

君は笑って照れたようにして言った

「それじゃあお面そろそろつけないとだね。」

僕は躊躇せずにお面をつけたんだ

目にあいた穴から君の可愛い顔が見えたんだ