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米中貿易戦争の危機近づく-関税措置、土壇場で回避の見込み乏しいか

2018.06.17 20:27

米中貿易戦争の危機近づく-関税措置、土壇場で回避の見込み乏しいか

Jeffrey Black

Bloomberg 2018年6月18日 1:31 JST

→中国が報復関税リスト公表-米国と同じ規模、強さで応じる

→米中の輸出業者は相当な経済的損失被ることに-IHSマークイット

トランプ米政権が中国からの輸入品500億ドル(約5兆5300億円)相当への追加関税を発表し、中国が同じ規模、強さの報復関税で応じる方針を表明したことで、世界経済は貿易戦争勃発の危機にひんしている。

  世界1、2位の経済大国である両国はそれぞれ、来月6日に発動する新たな関税措置対象製品の詳細なリストを明らかにした。米国が15日発表したリストには中国が目指す産業高度化を阻む狙いがあり、中国は米国の農畜産業関係者らに打撃を与える品目を盛り込んだ。

  中国は16日に報復関税対象品の詳細なリストを公表。トランプ大統領は前日、中国が報復の構えを示せば、さらなる関税措置を講じると表明しており、米国がそうした行動に踏み切る可能性が強まった。米中は過去数週間、巨額に膨らんだ中国のモノの対米貿易黒字削減に向けた外交努力を重ねてきたが、成果を得られなかった。それだけでなく、中国が購入拡大の意思を示してきた製品までもが今回の追加関税の対象となった。

  ユーラシア・グループのアジア担当ディレクター、マイケル・ハーソン氏ら同社の専門家は、「7月6日まで発動を3週間先延ばししたが、関税賦課を回避するための土壇場の努力をするチャンスはほとんどない」と指摘。「500億ドル相当の製品に対する第1弾の関税措置は確定した。第2弾の措置へとエスカレートするリスクはかなりある」との見方を示した。


  米通商代表部(USTR)が公表した対中関税リストに掲載された製品は1102品目。4月時点で示していた約1300品目よりは少ないが、ロボットや航空宇宙、産業機械、自動車など「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」の下、中国が競争優位を目指すハイテク分野を狙い撃ちした。携帯電話やテレビなどの消費財は関税対象から外された。

  米国の発表の数時間後、中国財政省は米国からの輸入品545品目、約340億ドル相当に7月6日から25%の追加関税を課すとして、そのリストを公表した。対象品目は大豆やトウモロコシ、小麦、牛肉、豚肉、鶏肉といった農畜産物や自動車など。同時に、後日発動予定の第2弾の関税対象として石炭や原油、ガソリン、医療機器を挙げた。

  トランプ大統領の関税賦課方針は、米朝首脳会談を終えて朝鮮半島の緊張緩和を目指す自身の取り組みにも影響を及ぼす可能性がある。北朝鮮に核を放棄させるための同国との協議で、中国は重要な役割を担っている。

  IHSマークイットのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、ラジブ・ビスワス氏(シンガポール在勤)は、「中国に対して知的財産権の保護強化を訴える米国の要求を満たすような歩み寄りが交渉の最後の詰めだが、そこに至る道筋は非常にひどいものになっている」と指摘。「こうした懲罰的関税が課されている間、米中の輸出業者は相当な経済的損失を被る。中国製造業のサプライチェーンを構成するアジアの多くの国・地域も、激化しつつあるこの貿易戦争の巻き添えとなるだろう」と述べた。