「宇田川源流」 G7サミットの意義とこれからの世界(オンラインサロン予告かねて)
「宇田川源流」 G7サミットの意義とこれからの世界(オンラインサロン予告かねて)
5月19日から21日までの期間、広島において日本を議長国とした先進7か国首脳会議が行われた。その内容やその歴史的意義に関しては、来月6月のオンラインサロン「陰謀渦巻く世界情勢の中であなたが生き残る方法」(https://lounge.dmm.com/detail/2838/)の中でしっかりと連載して行いたいと思ってる。
しかし、せっかく今話題になっているのであるから、今行うべきことを「オンラインサロンの予告」として書いておこうと思う。まあ、「目次」というよりは本で言うと「帯」というか、書評に近い内容であるのではないかという気がする。この内容に貸して岸田首相は「歴史的な」という表現を使った。その表現の意図するところと、我々が感じているとことが同じであるとは思えない部分があるのであるが、それでも、ある意味で昨年のサミットとは異なり、ある意味でサミットの内容が変わったのではないかという気がするのである。
というのも、一つ目には、グローバルサウスと言われる国々が多く入ってきているということである。まさに、先進7か国の首脳会談ではなく、その先進7カ国に次ぐ国々も参加するサミットになった。ある意味で「限定する」モノではなく、「拡大するもの」としての会議体が行われたということになる。
もう一つは、ウクライナのゼレンスキー大統領が参加したことであろう。ある意味で、「敵」を作った形でのG7は初めてではないか。G7は、1冷戦下の1973年のオイルショックと、それに続く世界不況に起源を持つ。アメリカ財務長官ジョージ・シュルツは、将来の経済的課題を討議する会議を模索するため、西ドイツ・フランス・イギリスからそれぞれ財務大臣(ヘルムート・シュミット、ヴァレリー・ジスカールデスタン、アンソニー・バーバー)を招集し、ワシントンD.C.で非公式の会合を行った。1975年、フランスで大統領となったジスカールデスタンは、ライブラリーグループのメンバーに日本を加えた“工業化された4つの主要民主主義国”の首脳をフランスのランブイエに招待し、フランスを含めて5か国で初めての首脳会議を開き、定期的に首脳会議を持つことを提案した。このときの出席者は、主催国(議長国)を持ち回りで交代しつつ年に1回会議を持つことに合意した。こうしていわゆる「G5」が生まれた[28]。しかし、これを不服としたイタリアの首相アルド・モロが第1回会議に乗り込んで来た為、イタリアを加えG6となる。しかし、これではヨーロッパに偏る為、翌年のプエルトリコの首都サンフアンでのサミットで米国のジェラルド・フォード大統領の要請によりカナダが参加し「G7」となる。
このように、元々は「経済」に関する内容である会合が今回は「平和」を訴える者になったのである。
G7首脳"核なき世界"向け決意
外務省は20日、広島市で開催中の先進7か国首脳会議(G7サミット)に合わせ、G7首脳が19日に広島平和記念資料館を訪問した際の芳名録への記帳内容を発表した。岸田首相は「歴史に残るサミットの機会に議長として、各国首脳と共に『核兵器のない世界』をめざすためにここに集う」と記し、「核なき世界」に向けた決意を示した。
米国のバイデン大統領は「資料館で語られる物語が、平和な未来を築くことへの私たちの義務を思い出させてくれますように」と思いをはせ、「世界から核兵器を最終的に、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう。信念を貫きましょう!」と強調した。
現職の米大統領の資料館訪問は、2016年のオバマ大統領に続き2人目。
フランスのマクロン大統領は「感情と共感の念を持って、広島で犠牲となった方々を追悼する責務に貢献し、平和のために行動することだけが、私たちに課せられた使命です」とした。
カナダのトルドー首相は「多数の犠牲になった命、被爆者の声にならない悲嘆、広島と長崎の人々の計り知れない苦悩に、カナダは厳粛なる弔慰と敬意を表します。あなたの体験は我々の心に永遠に刻まれる」との感想を記した。
ドイツのショルツ首相は「この場所は、想像を絶する苦しみを思い起こさせる。強い決意で平和と自由を守っていくとの約束を新たにする。核の戦争は決して再び繰り返されてはならない」と誓った。
イタリアのメローニ首相は「本日、少し立ち止まり、祈りを捧(ささ)げましょう。闇が凌駕(りょうが)するものは何もないということを覚えておきましょう。過去を思い起こして、希望に満ちた未来を共に描きましょう」との言葉を残した。
英国のスナク首相は「シェイクスピアは『悲しみを言葉に出せ』と説いている。しかし、原爆の閃光(せんこう)に照らされ、言葉は通じない。広島と長崎の人々の恐怖と苦しみは、どんな言葉を用いても言い表すことができない」とし、「私たちが、心と魂を込めて言えることは、繰り返さないということだ」と締めくくった。
2023年05月20日 12時12分読売新聞
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12213-2345870/
平和を訴えるということは、逆に言えば「平和ではない」ということの象徴となるものである。同時に「敵がいる」ということになる。それをG7の国々だけではなく、そこに集まった国々が、「共通の敵」として認識したということになる。ある意味で「国連の敵国条項」にある日本において、日本やドイツが、アメリカやイギリスなどと一緒になって他の国を敵にした転換点が図られたということを意味しているのである。
そして、その敵国が「ロシア」と「中国」であるということがよくわかるのではないか。そのうえで、核兵器の根絶を願ったということはある意味で、「平和を目指すサミット」が行われたということ位なるのではないか。
当然に、この内容に関して中国とロシアは強く抵抗している。ロシアが抵抗するのは、ウクライナのゼレンスキー大統領が出席したことで明らかであると思われるが、中国が過敏に反応している事は非常に面白い。それだけ「中国の国内に危機感がある」ということであり、実際にすでにウクライナと戦っているロシア以上に非難の声が大きい。まあ、縫い本のマスコミがそれを大きく報じているということもあるのかもしれないが、しかし、「大使を呼び出してクレームをつける」などと言うのは、なかなかやりすぎではないか。G7という国際会議の内容を日本だけを呼び出すというのは、なかなか興味深い内容であるということになる。もちろんそれだけ日本は「何でも言いやすい国」であり、「何を言っても怒らない国」なのであろう。
さて、「核兵器廃絶」などと言うことを言っても、それがスローガンで終わってしまい、結局はなくならないことは多くの人がわかっているのではないか。それを平和であるということを「スローガンにすること」で何が変わるのかということもある。その平和を訴えた後に、広島でそのままクワッドも行われているところが面白い。つまりは「今回のG7で集まった国々での新たな世界秩序」と「中国やロシアによる世界秩序」ということの対立時期が明らかになった会議ではないか。
さて、岸田内閣に股は日本国民にそれだけの覚悟があったのかということは、甚だ疑問である。しかし、「外圧」によって、そのことが行われたことが、最大の面白さであろう。
その内容に関しての詳しいところは6月からオンラインサロンで解説する。