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梨の日

さんらん『シャーピン』

2023.05.22 09:42

さんらん

『シャーピン』


作演出:尾崎太郎

出演:亀井奈緒(studio ALMA)、永野和宏(劇団新人会)、渡辺恒(さんらん)




せんがわ劇場演劇コンクールの参加の、さんらん公演へ。

久々のせんがわ劇場ー!


参加団体は全て上演時間40分。

さんらん『シャーピン』は満席だった。



中国のおやき、シャーピンを、テキ屋の夫婦ともう1人が久しぶりに三社祭で売るぞ!

と意気込むも、シャーピンだけはダメだと、お達しが。

理由は、チュウゴクだから。



差別的なことの問題は、押し問答の中でまざまざと観せられる。


ここ近年、自由に挙がる様々な声を簡単に聞くことが可能になった。

でも黙ることも多くなった。かな。


表立って出さない話題。

でも、ご近所さんと、とか、家族の会話で、ふと出るような濃淡のある会話が、いつしか自分と世間の温度差を感じるみたいに迫ってた。


でもそこはさんらんの太郎さんの演出。

暗く重たくならず、ちょっと最近気になっててさ、という親近感と温かみを忘れない。

沢山の可笑しみを含んで、たくさん笑った。

やりとりが可愛らしくて、おかしいんだもの。笑)


台本でいう最後のページになっても、私たち観客は気付かなかった。

そんな空気と幕引きだった。

のめり込んで、3人の会話を聞き入っていたから。


プライドもある。

欲求も、叶えたいものも。

でも妥協も必要で。

消去法で1番を決めないとならないけれど、譲れないものは果たしてドッチだったのだろう。


現実と理想。

大きく考えたら、そういった枠がみえてくるのかもしれない。

個人的な感想だから、素っ頓狂な答えだろうけど。

でも、政治が国が、の前にある“生活”が、より濃く印象に残ったの。



たった40分弱。

夫婦の割れた答えは、どうやって1つにしたのだろう。

どちらかが折れるまで続くだろうし、

あの夫婦なら折れるという選択ではなく、すり合わせられるかな。


社会を窓口にして、より近い社会を観た気がする。




帰り道では、母親世代の女性2人が『シャーピン』について語ってた。

重たい雰囲気ではなかったけれど、共感と同感が入り混じったような会話。

そんな帰りも含めて、観に行けて良かった。



コンクールなので受賞がついてくるけれど、これからもこの素敵な団体の生み出す作品を観てゆきたいな。


【さんらん】の、ぎゅっとした会話劇、やっぱりとても好きだった。