'80年代 電動オフロードカーブームを振り返る
皆さん、こんにちは。
RC営業担当の坂本です。
毎週水曜日はRCカーの情報をお届けいたします。
さて、当ブログをご覧いただいている方のなかに、今から30年ほど遡る1980年代に電動オフロードRCカーを楽しまれていた方はいらっしゃるでしょうか?
この当時は空前の“RCブーム”といわれ、電動カーを中心に全国的に多くのファンがRCカーをホビーとして楽しまれた時代だったようです。
各社からユニークな新製品が続々とリリースされ、ファンは好みのマシンを購入して組み立て、夢中になってマシンを走らせていた時代。もちろん、現在でも同様にRCファンはたくさんいらっしゃいますが、この時代は特に多くの方がRCホビーを楽しまれているケースが多かったのでしょう。
先ほどの文面で、“楽しまれた時代だったようです”と表現したのは、私は'80年代にはまだRCを始めていなかったため、当日のブームを知りませんし、その当時がブームだったという事実さえも京商に入社して初めて知ったほどです。
上の写真は、京商のユーザー相談室に保管されている'85年以降の総合カタログのページの一部です。カタログを開くと、その年に発売された新しいオフロードカーの紹介に加え、オフロードレース時の大会風景写真が掲載されていました。集合写真を見ると、その人数と出場マシンの数にビックリしますね! 1日でレースプログラムが終了するのでしょうか(笑)
子どもたちが多いのにも驚きます。小学生から中学生くらいかと推測しますので、ここに掲載されているキッズたちは、現在40歳代くらいに年を重ねていらっしゃるでしょう。
'85年の総合カタログに“ビートル”と“スコーピオン”が登場しています。この2車種はビンテージシリーズとして、2014年以降からリリースされているので、私にも馴染みがあります。復刻されたビンテージシリーズは動力源などを現代風に合わせて変更されていますが、シャシーやサスペンション構造は当時のオリジナルをよく再現されているのがわかります。
京商のビンテージオフロードカーシリーズは、第1弾の初代スコーピオンから最新のジャベリンまで6シリーズを展開してきました。ホビーショーやフェア、京商レースイベントなどでは展示の機会も多いのですが、展示ブースに立ち止まって懐かしそうにマシンを眺める方がとても多く、実際に所有していたという方とも全国でたくさんお話させていただきました。それほど多くの方が夢中になって走らせていたのでしょう。
私が勤める京商株式会社。私には多くの先輩上司たちがいますが、その上司、先輩方のなかにも、当然このブーム期を過ごしていた社員が多いです。みんな、その当時のマシンには思い入れが強いようです。どの先輩方も当時のまま大切に保管されているのがほとんどです。ホビー好きな人間が集まっている会社なので、当然なのかもしれませんね(笑)
下の写真のマシン。当ブログへの執筆はもとより、ミニッツレーサーの企画から開発、さらにDRONE RACERの開発の中心になり、さまざまなシーンでよく登場する、石川リーダーのマシンです。
石川リーダーといえば、ミニッツシリーズの開発やオフィシャルイベント“ミニッツカップ”の運営など、何かと“ミニッツ”のイメージが強いですが、実は当時のオフロードカーブーム真っ只中、夢中になって走らせていた生粋のオフローダーのひとりです。その当時、まだ中学生だった石川リーダーは、この頃からすでに京商製マシンとかかわりをもっていたのですね。気になるマシンは京商の“アルティマ プロ”と呼ばれるもので、1989年の総合カタログに登場しています。
この頃は全国各地でレースイベントがさらに白熱するようになり、そのレースでアドバンテージが得られるようなレーシーなシャシー構造が採用されるマシンが登場してきます。
京商も競技を意識したマシン開発を進めたことで、世界選手権を優勝した初代アルティマをさらに進化させたマシンがこのアルティマ プロとなります。アルティマという名称は、現在の京商2WDマシン(アルティマRB6.6)にも使われており、私にも馴染みのあるネーミングです。
その当時、埼玉県に住んでいた石川リーダーは、始発の電車に乗って現在の神奈川県厚木市の京商サーキットまで足を運び、レースに参加していたとのこと。
このマシンはすべて自分で組み立てて走らせていたとのことですが、ボディもていねいに塗装されており、さらにチューニングナップのオプションパーツを各部に投入していたのも確認できます。
このマシンのフロントショック(ダンパー)ステーは、当時のオプションパーツリストのどれを見ても該当するパーツが確認できませんでした……。なんと、ステーとなる素材を自分でカットして作ったとのこと。その理由は、フロントダンパーのストロークをより長くしてハンドリング性能を向上させるためで、オリジナル改造パーツを作ったようです。
中学生にして、ここまでマシン作りを追求していた点は現在のミニッツレーサーをはじめ、今日までの数多くの徹底した“ものづくり”に対するこだわりが、この当時から精通していたのを、このアルティマ プロを見ると感じてきます。
このマシンは石川リーダーの業務デスクの傍らに置かれています。たくさんの思い出が詰まっており、ものづくりの原点ともいえる大切なマシンですので、慎重に撮影いたしました(笑)
全国各地で盛り上がりを見せた'80年代オフロードレース。
その当時はどういったコースでレースが行われていたのでしょうか。京商の1987年の総合カタログの一部と、ラジコンマガジンさん(1986年12月増刊号)の記事にレースの模様が掲載されているのを発見しました。
上の2枚の画像を見たところ、コースレイアウトは比較的シンプルなつくりのようにうかがえます。
現代の電動オフロードカー走行環境はマシンやタイヤ性能、またパワーユニットの大幅な性能アップにともない、飛距離の出るビッグジャンプや複雑なコースレイアウトが世界中に存在します。また、当時と異なり全天候型のインドアコースの普及もあって、路面コンディションもダートでありながら整備されている点、また近年ではダート以外でのハイグリップカーペットでのハイスピードレースなどがヨーロッパを中心に盛んになってきており、オフロードの走行フィールド環境もずいぶんと変わってきました。
'80年代のオフロードシーンは、上の写真のようにレイアウトされたダート路面が走行の基盤だったのがわかります。難しそうなジャンプはありませんが、当時のシャシーとパワーユニットでいかに速く周回できるか、そこに凌ぎを削っていた時代。あれだけ多くのファンが夢中になっていた当時の環境に戻れるなら体感してみたいと、私なんかは思ってしまいます。
実はここ最近の関東地区、またその他地区のサーキット所有販売店様の一部では1980年代のオフロードコースを再現して運営されているRCサーキットが出始めています。
下の写真は以前のブログでもたびたび紹介している茨城県つくば市の谷田部アリーナさん。もともと駐車スペースだった場所を開拓し、'80年代風ダートコースを展開されています。
そして、千葉県旭市にショップを構えるGBサーキットさん。こちらも本格的な電動オフロードサーキットとして有名なショップ様です。全面人工芝のテクニカルなオフロードコースと、'80年代を再現したビンテージコースを最近オープンされており、まさに新旧オフロードコースを存分に楽しめる素晴らしいサーキットです!
当社も含め、各社からビンテージオフロードカーがリリースされたことにより、当時所有していたものを懐かしんで購入される方は非常に多いかと思いますが、実際に当時走らせていたようなレイアウトのコースは、現在はほとんど姿を消してしまっています……。
せっかくビンテージマシンを入手したのなら、やはり当時と同じような環境のコースで走らせてみたいものですよね。上記2店舗での走行は、走行スピードの制限にも考慮されているようですので、久しぶりにドライビングする方も安心して走らせられるよう優しく配慮されている点も素晴らしいと思いました。
現在の電動オフロードカーシーンにどっぷり浸かっている私にとっても、'80年代のオフロードカーブーム時代はとても興味深いものです。ショーやフェア、レースイベント時にお客様とお話させていただくなかでも、その当時の懐かしい楽しさが伝わってくることもしばしば……。オフローダーの端くれとしては、ぜひ体感してみたいものです。
というわけで、私もビンテージマシンを組み立てて走行させてみたいと思い、用意してみました!
ビンテージシリーズの”ターボスコーピオン”です!
No,30616 1/10EP 2WDオフロードカー組み立てキット ターボスコーピオン ¥32,000(税別)
なぜ、このマシンを選択したかというと、ビンテージシリーズのなかで見た目が一番好みだったからです! 商品箱を開けると各パーツごとにパッケージされており、組み立て前から意欲を注いじゃいますね!
さっそく組み立てて、当時のオフロードのワクドキを体験してみたいと思います!
今回のブログでは組み立て&走行が間に合いませんでしたので、次回のブログで引き続き紹介したいと思います。
本日のブログはRC営業担当の坂本でした。
最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございます。