時々いる、健康なのに肝臓の数値に異常が認められる猫ちゃん
タイトルの通りなのですが、外見に異常がなく、全く体調に問題がなく、元気いっぱいなのに、肝臓のダメージ酵素、ASTとALTが何故か高い、という猫ちゃんが結構います。
何故かあまりその理由を知らない先生が多いことにびっくりしたことがあるのですが、猫ちゃんは肝臓の、特に胆管系の奇形(本来奇形は体に害があって、生きていけない可能性がある異常をいいます。そのため、この場合は破格、と表現するのが適切ですが、分かりやすく奇形と書かせてもらいます)が多く、胆汁がうっ滞してしまうことが原因と言われています。
そのため、こういう症状を持つ猫ちゃんにはうっ滞を少しでも改善する、利胆剤のウルソデオキシコール酸という、胆汁の通りを良くする薬を一生使用し続ける、という手段がとられます。
一生お薬を飲んで害が無いのか?と思うかもしれませんが、もともとウルソは熊の胆という漢方薬から合成されたもので、合成漢方薬と言ってもいいような薬です。
安全性は非常に高く、本当に胆汁を排泄できなくなった段階、つまり黄疸が出てくるまでは、普通に使用して大丈夫です(黄疸が出てくる、というのは、もう完全に胆汁を通す通路が塞がった証拠のため、特殊な状況以外では、黄疸が出たら使用しないほうが良いと言われています。)
その結果普通に長生きして黄疸が出ることもなく大往生、ということも普通にあるので、うちの子、こんな変な奇形があるの?と心配しすぎずに成長を見守って行くと良いかと思います。
追記
黄疸が出てもウルソを使用する時があります。猫ちゃんの代謝上の問題で、長く餌を食べない、または肥満猫が数日餌を食べないと、肝細胞に急激に脂肪がたまり、脂肪肝になってしまうことがあります。
こうすると、無理やり食べさせたり、胆汁の流れを良くしたりして黄疸を治す必要が出てくるのです。食べていないから脂肪肝になる。ちょっと不思議ですね。