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赤坂・一期一会プロジェクト(万葉ロマン塾)

ラブソングとラブレター(関塾長寄稿)

2023.05.25 09:23

気持ちを伝えることと敷居の高さ

わかりやすい例として
ラブレターとラブソングを比較してみます

ラブレターは、気持ちをそのまま書くだけでも完成します
「好きです」
これだけで
この1文だけで「恋文」になります

でも、ラブソングだと、好きだという気持ちをどう表現するかと考える必要があります
リズムはどうする
直接的か間接的か
相手の名前を入れるか

などといろいろ考えると、「恋歌」はむずかしいです

万葉集の歌は、他の和歌と何が違うのだろうか

いま、ラブソングを作るとしたら、ポップ調・ロック調・ボサノバ・演歌などなどさま
ざまな形式から悩むことになります
でも、万葉集の時代なら五・七・五・七・七だけ
このリズムに合わせれば良いのです

しかも、うるさい師匠も面倒な決まり事もありませんでした

好きだという思いを五七五七七にすればよかったのです

感情の動きは、人の死に出会ったときにも激しく動きます
悲しみや苦しみ。後悔や憤怒を、思いのままに五七五七七にすればよかったのです

古今和歌集以後の和歌は「かっこいい」んです

万葉集の和歌は「どんくさい」のです

でも、だからこそ1300年も昔の「気持ちが」伝わるのです

むずかしいけど、おもしろい

それが万葉集のうたなんです

文・万葉ロマン塾 塾長 関隆司