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ピアノ弾きの覚書

100歳ピアノが教えてくれる音

2023.05.25 10:40

先週、図書館に寄付された100歳になるピアノを見てきた。

見てきた、というのは使える状態かどうか判断しに行く仕事の一つです。

↑この写真は中のアクションを出す前に鍵盤蓋だけ外した状態。


イタリアの歴史ある建造物はいずれも天井が高い。





ベヒシュタインのセミコン。

元々ピアニストが使っていただけあって、コンディションはまずまず。



何よりも、元の「声」が素晴らしい。

現代のピアノでは夢に見るような美声であります。

味があるんです。




日本では味のないモノクロピアノが多いですね。小さなホールでさえみな立派なスタインウェイやヤマハなどのコンサートグランドですが、味気ないのよね。



綺麗に整いすぎ。





そこなんでしょうね。日本人の耳が養われないのは。

精製水や蒸留水飲んでる感じ。

味も成分も取り除いちゃった医療水のよう。





よく「綺麗な音を」「美しい音を」というけれど、正直音楽の中には様々な「音」が存在している。

日本人は体が薄いためにコンサートグランドピアノを鳴らせることが難しい。

しまいに指も細く、華奢であります。



いつしかレッスンで「ここはもっと厚みのあるffが必要だ」と言って弾いて聞かせてみた。するとその生徒さんが「私、そんな大きな音は出せません。音が汚くなるし」と。でもここはこの曲がffを必要としているからどうやるの?と聞くと、その人のやった方法はなんと、、、拳骨でダン!と低音を殴った(引っ叩くのとちょっと違う)音でした。





言葉を失った。




その出した「音」の方がよっぽど汚く、音楽の音ではなく単なる物体の「音」だったから。

響いてれば良いんじゃないんですよ?





、、、、、ないんだな、仕方ない。





もしこの100歳ピアノでそれやるのを想像してみてよ?

泣くよ。






これまでヨーロッパでいろいろなピアノを弾いてきました。そして機能が万全に整っていなくても引き出せる「声」がある。

それらはピアノそのものが教えてくれた。





ありがたい事です。






6/17(土)東京リサイタルはベヒシュタインのコンサートグランドです。

木🌲の音がしますよ。



日本でもだいぶ増えてきたピアノメーカー。

ご興味ある方はぜひご来場ください😉




よろしくお願いいたします。