ひとものがたり#1 よしはらかおりさん②(全3回)
“人生は、ひとそれぞれ。だからこそ、面白い”
岩手で出会った魅力的な人たちの声をお届けします。
よしはらかおりさん
盛岡で活動する手織り作家のよしはらさん。年に1~2回個展を開くほか、オーダーでの作品作りもされています。一番人気はカシミヤのマフラー。ふんわりとした空気が織り込まれた作品は、包み込まれる安心感を教えてくれます。今回は、そんなよしはらさんにお話しをお聞きしました。
―作品を作り始めた頃と今とでは、何か違いはありますか?
20代の頃は体が痛くなるまで作品づくりをすることが多かったです。30歳を超えたら無理がきかなくなってしまって(笑)。以前は没頭して作ることが多かったけれど、オーダーで制作する場合は「お客さまの希望」というゴールがあるので「作っている自分」のひとつ外側から「観察している自分」がいます。自己満足な作品になってしまってはダメですし。集中力も以前ほど続かなくなってきました。
―年齢とともに自然と変化してきた感じですね。
そうですね。あとはずっとアウトプットを続けてきたので、自分の中にある表現のストックのようなものが少なくなってきたのかもしれません。それもあって、これからは積極的に人と会って話す機会を作りたいと思っています。人と話すことは私にとってはとてもインパクトがあることで、以前は人と会いたくても、会っている時のストレスが強くて疲れてしまっていたんです。でもある時、ちょっと大きなショックというかストレスな出来事がありまして、それを越えたら人と会うことがそれほどストレスじゃなくなったんです。
―人と会うことが苦手というのは、子供の頃からですか?
はい。小学校低学年の頃に不登校になって・・・今も理由らしい理由はわからないんですけど。学校に行かなくなってどう生きていくか考えた時に、これは普通に勤めて生きていくのは無理だなと。このまま社会に揉まれるには繊細すぎるなと思ったんです。
―手織りと出会ったのはいつ頃ですか?
17歳の頃です。もともと作ることが好きだったので、夢中になって織っていました。作家として生きていこうと決めたのは30歳の頃です。
―もしも10代の頃のご自分に声をかけるとしたら、何を伝えますか?
うーん…何も言葉はかけないかもしれません。ただそばにいて、子供の頃の自分が話しはじめたら聞いてあげる。当時、私の話しをだまって聞いてくれる人がいなかったんです。「どうして学校に行かないの?」と聞く人は多かったけど。当時の私は、何も欠けているところはないと思うんです。できないことはたくさんあるんですけど、何にもアドバイスすることはないと思う。そのまんまでいいし、それもあえて伝えなくても大丈夫だし…。見守りますね。
つづきます。
よしはらさんブログ:https://ameblo.jp/yooteori
インタビュー用ブログ:https://kaori-interview.blogspot.com