『治療に効果がない』ことと『患者の症状が改善する』ことは矛盾しません②
こんばんは。夢のまち訪問看護リハビリステーション 都賀の理学療法士の倉形です。
前回の続きです。 表題は私の立場です。また、医学と科学に関してトレーニングを受けた人の間ではスタンダードな考え方だと思っています。
ですので、『効果の検証はされていないけど、自分はこの方法で患者さんの痛みを改善させてきた』という治療者がいたり、『私はこの方法でよくなった。この治療法には確かな効果がある。私自身が証明です。』とおっしゃる患者さんがいたら、あまり真に受けてはいけません。
私の意見(表題)をサポートするために、
① プラセボ効果
② 自然経過
③ ホーソン効果 を挙げました。
前回で①に関しては書きました。 ②の自然経過は、あまり難しいことはありません。治療を受けに来た人に『ある程度長い期間』、『繰り返し治療をしに来る』ように指示をする。もしくは、自主トレーニングを行うように指導します。時間が経過することで治っただけかもしれないのに、『私の治療を受けたから(私の指導した自主トレーニングをきちんとやったから)、治ったんだよ』と言うことができます。
③のホーソン効果は少し詳しく説明します(と思ったら、webに説明が載ってる)。
ザクっというと、アメリカのホーソン工場で行われた実験で発見されたものです。作業効率を上げるため、照明の明るさや、温度・湿度を様々に変えながらデータを取ったところ、どんな風に条件を変えても、生産性は向上しました。結果、作業する場所の条件ではなく、『観察されている』こと自体が生産性の向上に寄与した。という話です。
これらの心理的作用を上手く組み合わせながら使うことで、効果のない治療でも『患者の症状を改善させる』ことができます。
現在、優れたリハビリ法であるとみなされている方法のうち、効果の検証されていないものは、実は・・・・
① それっぽいことを、えらい風の先生が言って、患者さんに期待させて(プラセボ効果)
② 治療中に頻繁に『動作がどのように変わったか?』と評価し(ホーソン効果)
③ これを一定期間継続することで自然治癒するのを気長に待つ(自然経過)
というだけである可能性もあります。
『そうじゃない!!確かに自分たちの治療法は効果がある』と主張したい場合は、科学的な手順でもって検証される必要があります。 裁判では『疑わしきは、罰せず』という原則があります。はっきりと有罪にできない(グレーの)場合は、シロとみなすということです。治療効果に関してはそうではなく、『効果がある』と主張したい人達が、その効果を証明しなければいけません。
「治療効果がないことが証明されていないので、『疑わしきは、罰せず』の原則に則って、この治療法はシロ(効果あり)だ。」というのは許されないことになっています。
こういう話をすると、『結局、患者さんの症状が良くなるんだったら、その治療にホントに効果があろうが、プラセボ効果であろうが別に大した問題ではない』と考える人もいらっしゃると思います。
長くなりましたので、次回で、その辺りの話も書きたいです。
また、今回も終わらず・・・・
今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございました。
理学療法士 倉形裕史