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超人ザオタル(108)思考と焦点

2023.05.27 23:48

そこへシュマがやってきた。

まだ真の自分への興味は失っていないらしい。

神妙な顔で一礼をして、私の傍らに腰を掛けた。

「ザオタル殿、どうも自信がなくなってきました」


開口一番、シュマは力なくそう言って、言葉を続けた。

「瞑想していても、いつも思考に邪魔されるのです。

・・・、気づくと何かを考えています。

真の自分でいることにも注意を向けるのですが、


すぐさまそれは思考へとすり替わってしまいます。

それでか、真の自分でいることも朧気になっていって、

何かはっきりとしません。

むしろ思考の方がはっきりとしています。


こんなことでは駄目だと分かっているのですが、

思考の引力が強すぎて、何ともできないのです。

いや、むしろ思考の心地よさに安堵しているのか。

そうしているのが自分のような気もしてきます。


そうなっていても、真の自分は何もしてくれません。

確かにそこにいると分かってはいるのですが、

思考のような引力があるわけではなく、

それで思考から解かれることもないのです。


私としては、思考がなく、ずっと真の自分としていられること、

それを目指しています。

思考がなければ、それも可能だと思います。

この思考を何とかして止める方法はないのでしょうか」


シュマはそう言い終わると、ひとつため息をついた。

「シュマ殿、瞑想はなかなか一筋縄ではいかないものです。

瞑想者の誰もが、瞑想中の思考を問題視しています。

そして、思考を無くすことはできないというのが結論です。


残念ながら。

もし思考を無くすことができたとしても、

それは思考がないというだけで、

それで真の自分が明白になるわけでもありません。


思考は世界のものなので、その発生を抑えることはできない。

ですから、思考を無くすことに力を使いすぎないことです。

問題は思考なのではなく、焦点なのです。

真の自分から思考へと注意が変わるのは、焦点がそこに飛んでいくからです。


この焦点は落ち着きがないという性質を持っています。

常に新しい対象を見つけて、それをつかもうとする。

この焦点もそれ自体が悪いということではありません。

これがあるおかげで、逆に真の自分にも戻れるのです。


思考に捕まったままではなく、次の瞬間、真の自分に焦点を変える。

これも焦点の落ち着かない性質があってこそのこと。

しかしながら、この焦点をある程度制御しなければなりません。

動き回ろうとする焦点を真の自分に合わせたままにする。