毎日ボーナスタイム vol.5<みうらかな>
「歩きながら俳句を考えたことがあるか」
私はある。仕事で頭を抱えたときのあのどうしようもない脳の酸欠や、天気のいい昼間の散歩。大事に育てている植物への水やりの時間など。だがしかし、いつも当たり前のように季語を忘れてしまうし実は字余りもしている。結局、全然俳句とは呼べない語呂がいいだけの文章になるのだった。
●仕事とは とんかつよりも 大事かな
(これは孤独のグルメを見た翌日どうしてもとんかつが食べたくなったとき考えたもの)
●新芽ちゃん できればそのまま 葉を増やせ
(元気のないポトスに水やりしていたときのもの、後半命令形)
●家帰ろ 早く煮たいな 黒豆を
(恋人のお父さんに大粒の黒豆をいただいたとき、うれしくて考えた)
●家帰ろ 早くゆでたい 山椒を
(恋人のお父さんに庭の山椒をいただいたとき、うれしくて考えた。前のと同じ)
●雨が降る 靴間違えた めちゃ滑る
(そのままの情景を想像してほしい)
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こうやってくだらないことばかり考えているときのほうが、私は幸せそうな顔をしている。
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「代官山の地下の二階は湿度が高い。」
雨の日が続いたせいで、私の職場はジメッとした嫌な空気であふれていた。ぬるい水の中にいるような気持ち。それにともなって体の動きも少しずつ鈍くなる。
太陽の光が届かないこの地下空間でもう三年も働いているのかと思うと、なんとも不健康な気がしてくる。眠るのが遅くて起きるのも遅い私にとって、昼過ぎの出勤はなんともありがたかった。のだが、ここ最近は生活が少しずつ変わってきたこともあり、21 時には布団を欲しがる身体に変わってきた。
人はみな、いつかは早寝早起きが最高だと気づくものなのだ、と知らないおじいちゃんが言っていた。俺なんか3 時に目が覚めてしまうと。それはあまりにも早いが、そういえば片岡鶴太郎もそうだったっけ。
天気予報は大体朝の報道番組をチェックする。自分の住んでいる東京の天気を確認した後は、地元の福島や友達が住んでいる関西、このあいだ行った山形の天気まで見てしまう。みんな元気してるかなぁ、風邪などは引いていないだろうか。こうやって毎日少しだけみんなのことを思い出す時間が結構うれしかったりする。
このコラムを書いている今日の天気も雨。しかも土砂降りの雨。明日は晴れだってタクシーの運転手さんが言ってたから、洗濯は明日たくさんやろう。
文:みうらかな