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Chairmans EYE -第三節展望-

2023.05.28 16:29

CHAIRMAN'S EYEとは

30リーグチェアマンの上田ダイゴが

独断と偏見と妄想で

30リーグ2023の見どころや

注目ポイントを紹介するコーナーです

今回は第三節

『D地区×虹色りきゅーる』を

独自の目線で徹底解説します!!

一体この様な事態を誰が予想出来ただろうか?

本来ならば火リーグの中盤戦として開催されるはずであった第三節 『D地区×虹色りきゅーる(以下虹色)』が、劇団天文座(以下天文座)の30リーグ脱退という大波乱を受けて、まさか事実上の火リーグ優勝決定戦になってしまうとは。

では第三節を迎えるにあたってその状況の変化を整理しよう。

まず火リーグ初戦となった第一節『虹色×天文座』虹色が56票で勝利し2ポイント獲得。この時点では第三節の『D地区×虹色』虹色が勝てば火リーグの優勝決定D地区が勝利もしくは引き分けの場合、第五節『天文座×D地区』の結果待ちという状況であった。つまり虹色は第三節に負けて全団体一勝一敗の得票数勝負になった場合の対策も視野に入れた戦術が求められ、D地区は第五節の天文座との戦いを見据えた戦略を練る必要があったのだ。

しかし天文座が30リーグを辞退した事により事態は激変。30リーグ実行委員会による協議の結果、第五節はD地区の不戦勝とし、得票数も56票とする決定を下した。これにより第三節に勝った方が火リーグ優勝という、非常にシンプルな構図の戦いとなってしまった。

もちろん構図がシンプルになったからといって、この対戦の魅力が損なわれた訳ではない。むしろシンプルになったからこそ両団体の思惑がダイレクトに伝わる真っ向勝負を楽しめる事は間違いない。

CHAIRMANS ANALYZE

まず先攻となるD地区。30リーグ初戦がいきなりリーグ優勝決定戦という非常に難しい戦いとなってしまったが、この団体に限ってはそんな心配は杞憂なのかもしれない。というのもD地区は去年10月に火ゲキ30×30に初めて参加してくれたのだが、その際の作品を観た私の感想は『自信と度胸が凄い』だったからだ。

表向きはコメディの装いをしているものの、その実かなり攻めた内容をぶち込んで来る作風はインパクト絶大。当然インパクト故に観客の好き嫌いもハッキリ分かれる可能性がないとは言い切れないのだが「そんなの些細な事」と思えるくらいに作・演出・役者すべてが堂に入っているというか、自分たちの作品に揺るぎない自信を持っているのがダイレクトに伝わってくるのだ。あの自信と度胸が今回も発揮されれば難しい状況をプラスに変えるのはそう難しい事ではないであろう。

あとD地区のアドバンテージとしては、もし同票で引き分けになった場合はD地区の優勝となる点だ。今回の対戦は勝てば無条件に優勝だが、もし同票で引き分けになった場合、全試合の総得票数の多い方が優勝となる。しかし実行委員会の裁定によりD地区の不戦勝の得票数第一節の虹色と同票の56票となったので、得票数としても引き分けになってしまうのだ。そうなると次の勝利条件「先攻団体の勝利」が適用される事になりD地区の優勝が確定する。

確かに僅かなアドバンテージではあるが、たった1票が明暗を分けるのが30リーグ。有利な材料は一つでも多い方が良いに越した事はない。

対する後攻の虹色は第一節を壮大な世界観のファンタジー作品で古巣相手に会心の勝利流れが重要なリーグ戦において、公式戦を戦ったという『経験値』と勝利したという『勢い』はD地区にはない強力な武器。しかしそれ以上に今回の大きなアドバンテージはやはり『後攻』という点であろう。

前回の30リーグからこのコラムで何度も語っている通り、30GP30リーグの対戦において『後攻有利』はもはや常識。ホーム&アウェイに例えるなら『ホーム→後攻、アウェイ→先攻』くらいの差がある。30リーグでは先攻後攻各一試合ずつ行うので、いかに後攻の試合を取りこぼさず、先攻の試合で善戦しておくかが鍵になってくるのだ。

第一節のアウェイ戦で勝利という最高の結果を得て、満を持してホーム戦に挑める虹色に対して、いきなりの初戦、しかもアウェイ戦優勝決定戦となってしまったD地区。虹色としてはこれ以上ない有利シチュエーションを作る事に成功したと言えるだろう。

もちろんいくらシチュエーションが良くても作品が良くなくては勝てないのだが、そこでも虹色は抜かりない手を打ってきた。第三節のキャスティングを客演なし劇団員の四人のみで挑む事を選択したのだ。一見すると客演の有無と勝敗に関係性は薄そうに思われるし、なんなら客演で強力な役者を入れた方が勝率は上がりそうだが、前回の30リーグでは多くの団体が客演あり作品より客演なし作品の方が高い評価を得ていた。つまり虹色の今回のキャスティングは勝利のセオリーに則った、実に理に適った選択と言えるのだ。


筋書きのある演劇で争う30リーグが生んだ筋書きのないドラマ。予期せぬアクシデントをチャンスに変えて30CLIMAXへのチケットを手にするのははたしてどちらの団体なのか?


上田ダイゴ(30リーグチェアマン)