そんじゃそこらじゃないモノ
「便秘が治るツボを教えてください」と聞かれることがあります。
しかし残念ながら、ここに鍼をすれば便秘が治る等という確実なものはありません。人は確実なものを求めたがりますが、不確実なのがこの世界の現実です。特に人体においては、なおさらです。
「そんじゃそこらの便秘ではない」のだそうです。
西洋薬よりも漢方を頼り、それも大承気湯というかなり強い下剤も服用してきたし、針灸治療も10件以上のさまざまなところで受けてこられた。有名な先生方に散々施術をして頂いてきた。それでもだめだった。なので失礼ですが正直なところ、誠花堂でそれほどすぐに効果が出るとは期待はしてはいないし、仕方がないものなのだと思っている。でも何年かかってでも治したいのでお願いしますという。それほどの便秘なのだという。
そうですか。どれくらいお役に立てるか分かりませんがまぁ、せっかくなので拝見させて頂きましょう―ところが、初回治療後に「お通じが自然な感じであった」ととても喜ばれました。
そんなことは今までにはなかったそうです。であれば、ずっと見逃されていたポイントがあったといわざるをえない。
つまり、どんなに実力や経験がある先生であっても盲点はあるということです。きっとその先生方も日常的に便秘を治して喜ばれているのだとは思いますが、それでも確実なものはないのです。
なので、わたし自身にも見えない盲点はあるのだという前提でいつも鍼をしています。様々な思い込みがあること。特に鍼灸には正解がありません。見逃しているものはないか。発想を変えたら突破できるのではないか。自身も不完全であることに自覚的であるか。そういう冷徹さが、鍼に深みを与えると思っています。
私自身が「そんじゃそこらじゃない者」になれるよう精進を続けていくのみです。