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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

ベルエポック62-反ユダヤドレフュス事件

2023.05.31 11:23

1894年、反ユダヤ主義の広がりの中で起こったのがフランスの「ドレフュス事件」である。陸軍機密文書をドイツ軍に漏洩したという疑いで、ユダヤ人士官ドレフュス大尉が逮捕されたのだ。証拠とされるものは、筆跡が似ているというだけだった。そしてこれが反ユダヤ主義の新聞にスッパ抜かれた。

慌てた軍は、ドレフュスに終身禁固刑を言い渡し、ギアナ沖の悪魔島とよばれる監獄島に流された。この島は有名で、映画「パピヨン」に脱獄が描かれている。しかし軍の思う通りにはいかず、ユダヤ人ジャーナリストがドレフュスを援護して、国論を二分する大論争となった。

96年には新聞に、ドレフュスが書いたとされるドイツ軍あての文書がスッパ抜かれ、どう見てもドレフュスのものではないと白日のもとにされた。そして陸軍情報部は、真犯人はエステルアジ少佐ということを突き止めたが、なんと彼は無罪となってしまった。

作家エミール・ゾラは「私は告発する」を発表したが、反対に名誉棄損罪になり、彼はイギリスに逃げるハメになる。結局ドレフュスは、1899年新大統領のルーベにより特赦を受け、1906年正式に無罪となった。この事件を見ていた記者のテオドール・ヘルツルはショックを受け、シオニズム運動を起こす。