わからないことと出会う
2018.06.23 03:36
大分市には観光名所と呼ばれる場所が少ない。
友達が遊びに来てくれたとして、駅ビルに連れていくわけにはいかないし、喫茶店で一日を過ごすのは、僕は大好きだけど、なかなかみんなにお勧めできるものではない。
いま僕が立てる作戦では、みんなをここに連れて行こうと思っている。
大分県立美術館、通称OPAM(オーパム)だ。
美術館ができたのは今から3年前、平成27年4月のことだった。
地方の美術館ができることなんて、たかが知れている。
大学時代を大阪で過ごした当時の僕はそう思っていた。
自分は海外のそうそうたる美術館展をいくつも関西で見てきたのだ。
それに勝る感動を得ることは難しいだろうと。
しかし、いざ開館すると度肝を抜かれた。
まず驚いたのは、箱としての美しさだ。
全面ガラス張りの外観は空の色を映し、室内は県産木材を豊富に使っており居心地がいい。
そして何より展覧会の内容。
これまでOPAMで行われてきた特別展はほぼすべて観覧してきたが、最も感銘を受けたのは「神々の黄昏」展だ。
そこではクリムトの名画と大分は宇佐の仏像が並置される。
東西のヴィーナスの時空を超えた対置と自分が出会うことができる。
これは、大分でしかできない。
借り物の価値ではなく、ここでしか出来ないものへと、展覧会そのものを作品として昇華している。
大分が世界に出会い、世界が大分に驚く。
そんなことをやり続ける美術館なのだ。
展示室をでると喫茶スペースがある。
高校生が友達と話しながら勉強したり、待ち合わせをするひとを見ることもある。
展覧会を見ずとも誰にとっても親しまれる美術館。
大分県のびっくり箱。
そんなところにみんなを連れていきたいのだ。