Aoyama Book Center / Fuzkue / Yokota Hajime
今日は今月の25日に閉店してしまう青山ブックセンター六本木店へ。
自分は以前、六本木店ではないのですけれど、青山ブックセンターで働いていたので、やっぱり寂しいですね。
閉店をもう数日後に控えながらも、相変わらず素晴らしい本屋でした。もう日は無いのですが、是非お時間合いましたら行ってみて下さい。
働いていた頃にお世話になった上司にも、挨拶することが出来ました。
その後は初台へ移動してFuzkueさん(@fuzkue)へ。
ここはちょっと変わった、読書のためのお店。
何よりも、居心地良く、来た人が読書を楽しむ時間を過ごすことを、恐らく至上命題としているお店で、だからこその決まりごと(?)も多いですけれど、こんなお店が日本にあることが誇りに思えるような、素晴らしいお店です。
Fuzkueの店主阿久津さんは最近、自身のブログ/日記の本を出版されたのですが(「読書の日記」)、実は、自分はこの阿久津さんのブログを、10年ほど前、まだ阿久津さんが学生だった頃に書いていたブログの、読者のひとりだったんです。
本や映画、音楽の趣味も似ていて、それに何よりこの人のブログの文章をいつも心地よく読んでいました。
時は流れ、いつの間にかそのブログからも離れてしまっていたのですけれど、ある時ふと知人から初台にFuzkueと言う面白いお店があって…と聞き、ネットで少し調べて見ると、あれ、このブログの文章の感じ…もしかして…いや…絶対そうだ…!!と、そんな不思議な縁を感じていたんです。一方的にですけれど。
そんなFuzkueさんで今日読んでいたのは「白楽天詩集(平凡社ライブラリー)」と横田創さん(@piazzollamusic)の「落としもの」。
横田さんは「埋葬」が発売された当初に読み、ものすごい作品だ!と驚いて、たくさんの人に勧めていたのですが、その後なかなか新作を読む機会がなく、気づけばもう8年。8年ぶりの新刊なんですね。
この「落としもの」も、まだ最初の2編しか読んでいないのですけれど、只者ではない小説です。
横田さんの小説を読んでいる時によく感じるのは「女性」ということについてです。女性特有(と思われる)の身体と心の関係、断ち切ろうとしても切ることの出来ない、血と心について、しばしば思うのです。
ひとりの女性の友人を思い出していました。しばらく会っていないのですけれど。
彼女は両親が離婚しており、母親と二人きりで思春期からずっと暮らしていました。その子が時折話していた、母親への思い、愛憎入り交じった、ちょっとしたエピソード。
小説を読んでいると、知っている誰かのことを思い出しながら読んでいることが時にあります。
登場人物と、誰か似ている人が思い浮かぶ、そんなこともあるのですけれど、横田さんの小説ではそうではなくて、小説そのものから立ち上る「人間の感触」が自分の中の誰かの人間の感触を、思い起こさせる気がします。
横田さんの昔の小説は現在手に入りづらくなってしまっているようですが、ご興味持って頂けた方は是非この「落としもの」を読んでみて下さい。