イランの原油増産決定をどう見るか?
(SPECIAL WEEK編集長)
OPECで原油増産が決まったニュース経済・マーケット市場に参加している人にとって大きなニュースになったでしょう。増産は織り込み済みとはいえ、果たしてイランが協力するのか?と思っていた人も多かったかと。
まだ仮設ですが、イラン増産の決め手は全部で3つ。1つめはイラン国内の状況が悪化していること。イラン国内では連日国民による抗議デモが繰り広げられている。国内少数派の宗派を当局が弾圧したことが発端でイラン国内はちょっとした混乱状態に。米国の経済制裁に苦しむイラン経済の不調も後押しして、政府に怒りの矛先が向かっているらしい。
2つめはロシアが原油増産を求めていたこと。ロシアも長年の制裁で経済が良いとはいえない。しかもイランからすれば「ボス」のロシアが増産を求めていては仕方が無い。
3つめはサウジとの密約の可能性。密約というほどの大したものではなさそうだが、OPECの増産発表前にイランとサウジのエネルギー担当閣僚が秘密会談をしていたらしい。今日の読売の3面に載っていた。ここで何らかの「裏取引」があったに違いない。今後の両者の動きに注視していればわかるかも。
イランは国内情勢やイエメンでフーシが苦戦していることも頭を悩ませているうえ、北朝鮮と親密な関係を続けてきたことも、多くの懸念を残していると考えられる。北朝鮮の「非核化発表」は当然北から事前に相談を受けていたに違いないが、北へ何人もの技術者を送りこんでいるイランはIAEAの査察や米国の核施設査察に嫌な予感を抱いているはず。
国際社会に北朝鮮とイランの「悪の友人関係」が公にされれば、さらにイランの経済は悪化するし国内世論のイランへのイメージダウンは避けられない。今回のイランの増産はイランを焦りを目撃したことになったと、私は分析している。