Whole Foods Marketで抹茶エナジードリンク!!
Whole Foods Marketはアメリカを中心にカナダ、イギリスを含め約470店舗を展開する高級志向のスーパーです。比較的裕福なアッパーミドル層地域に店舗を出してます。アメリカだけでなく日本でも知名度が高まって来ているのではないでしょうか。
Whole Foods Marketは一時は1200店舗を目指す拡大戦略を掲げていましたが、現在はその目標を撤回しました。拡大戦略ではアッパーミドル層の地域以外のミドル層やローワー層にも店舗展開することになり、最終的にはターゲットやウォルマートと戦い価格競争に巻き込まれる可能性があるためです。アメリカでは拡大のみを行う戦略はもう過去の時代の戦略になりつつあります。
どのようにして市民から信用を得ているのか?
オーガニック食品や商品、地域農家の食品など、Whole Foods Marketが市場に発信しているメッセージは「体に害を与えない商品」を取り扱うという事です。Whole Foods Marketに並ぶ商品は、世界でも厳しい基準と言われる州や国の基準を通過しただけのものではなく、更に厳しい自社基準を通過した商品のみ店頭に並ぶことができます。
自社基準を作る際に、食品添加物や肉製造における抗生物質、魚介類、有機スキンケアまで、店頭で並ぶ品目に関するあらゆるものを自社で研究してます。規格に適合しない商品は、市場に人気があっても販売しません。
自社基準を厳しくすればするほど、生産に手間がかかり高価になってしまいますが、価格構成が他の小売店より高くても、商品安全を優先している姿勢がアッパーミドル層から支持を得てます。
Whole Foods Marketの目的に「Our purpose is to nourish people and the planet.」という事が書かれてます。地球や人々から有害な物を排除して、それらに良い影響を与える滋養物を提供する気持ちで行動しているのでしょう。なので、自社で研究した内容を農場や畜産現場に提供して、生産者と一緒に育成段階から協力して生産活動の現場に知識を提供してます。
世の中の数多くの商品から巨大資本販売企業が自社基準値に入るかどうか、商品を計測して合否を篩い分けるスタイルではなく、基準に適合するように、更に持続する農業環境を生産者と共に一緒に作り出す。このような企業姿勢を発信するマーケティングを行ってます。
ニュースで食品偽装が出て話題になったとしても、メーカーだけに責任を押しつけて、販売側が逃げるという構図は、このビジネスモデルでは出来ません。それが市民に安心感を与え支持を得ているのでしょう。
生産者のせいにして責任逃れするリスク回避型の大量消費ビジネスモデルではなく、共にリスクを取るビジネスモデルなので、しっかりと自社研究を行い、生産者者を知り、生産から一緒に行う。これは、一段高い理念が生産側と販売側の意識をまとめているのでしょう。
日本の生産者も詳しく知ろうとする姿勢
Whole Foods Marketでは、6月に2018年夏の新商品が発信されました。
その中で、抹茶のエナジードリンクがトップを飾ってます。
このWhole Foods Marketの棚に合うデザイン、サイズもそうですが、MACHAという言葉に込められた体に良いイメージとグリーンのままの葉という自然のイメージを、元気を与えるエナジードリンクにするところが絶妙なインパクトを与えます。
抹茶=自然サプリのイメージが高いアメリカで、エナジードリンクとして日々気軽に飲める商品にしたところがWhole Foods Marketらしい戦略です。
日本人にはこの商品は抵抗があるかもしれません。抹茶は儀式や日本食と合わせるものという文化的な先入観があると思うからです。でも少し視点を変えれば、インドの日常食カレーに必須のターメリック(ウコン)をエナジードリンクとして日本人が生み出した感覚と同じです。常に身の回りに存在するものは、常識的範囲から出難いのはどこの国でも同じだと思います。
この違う国の食材を自国の新商品として仕上げるには、国を超えた連携が成功を高めます。MACHABARはアメリカ人兄弟2人がブルックリンで、抹茶をアメリカ市民に広げることを使命のもと、マックスとグラハム兄弟と、両親のマシューとテリーで家族経営している企業です。生産地に拘り、日本で5代続く茶農園から葉を仕入れ、その農園に度々訪れる熱意ある経営をしてます。小さい経営ながらもWhole Foods Marketと手を組める事は、容易に想像できます。理念が近いことと合わせ、抹茶をアメリカ人好みに変換している点です。
理念や想いを貫きながら広げる
地域密着の自然食品店でも、発信の仕方によっては全米に展開する商品となります。今回の成功例はWhole Foods Marketと手を組めた事によります。開店から数か月以内にWhole Foods Marketの飲料用瓶を提供してもらい、サンプル抹茶ドリンクをWhole Foods Market地域数店で展開、その後は東海岸から西海岸へ展開して、今では全米のWhole Foods MarketにMACHABARの商品が並ぶ状態となりました。そして今年の夏は新商品である抹茶エナジードリンクへが全米の店舗に並びます。
莫大な費用をかけずとも、良いものや理念は協力者を得られるというのが、アメリカ市場の良いところです。ただ単に自分たちの商品を売りたいとの欲望まっしぐらで突入しても成功率が下がってきているのが今の時代です。
欲望まっしぐら戦法が成功しやすい状況をつくるには、巨大な広告宣伝費と高給で有能な人材を周りに多く囲み、できるだけ数多くの市民が自社の商品を知り、かつ興味を持ってくれたときに成功するやり方です。
自分ではなく地域の皆様のために抹茶を広げたい。それが全米の市民に広げたいとの変換をWhole Foods Marketが実施しました。「誰かのために」との同じ想いが商品を全米に展開できた例です。〇〇のためにをCSRで表現している企業もあります。これは、本業の延長線上のCSRです。
◇◇という商品は、アメリカ市民または地域市民の皆様を〇〇するために展開してます。
との情報発信の中心軸がぶれないようにすることが、アメリカ展開のスタート地点となります。あなたの商品が、過去の時代の価格優先の大量生産大量消費を目指すものでなければ・・・