6/24(土)南綾子『死にたいって誰かに話したかった』読書会
南綾子『死にたいって誰かに話したかった』読書会 ※満席のため申込締切
【ビブリオバトルの回の報告】
5/28(日)に天文館図書館の交流スペースでビブリオバトルを行ないました。
今回はこのビブリオバトルでチャンプになった本を次回(6/24)の読書会の課題本にするという二段構えの企画になっています。
以下、ビブリオバトルで発表された本です。
・『死にたいって誰かに話したかった』南綾子 ★チャンプ本&6/24(土)読書会の課題本に決定
・『赤と青とエスキース』青山美智子
・『きょうの日はさようなら』一穂ミチ
・『三体』劉慈欣
・『星を継ぐもの』ジェイムズ・P・ホーガン
・『流浪の月』凪良ゆう
紹介されたどの本も面白そうで、私もどれに票を入れるか大変迷いましたし票数も接戦でしたが、今回のビブリオバトルのチャンプ本は南綾子の『死にたいって誰かに話したかった』に決まりました。
こちらを課題本にして6/24(土)に【読書会の回】を開催します。
【日時】
6/24(土)10時30分から12時ごろまで
【場所】
天文館図書館交流スペース(鹿児島市千日町1-1 センテラス天文館4階大階段前)
【参加費】
無料
【定員】
8名
【申込方法】
申込フォームか、電話(050-3698-9921)、メール(books_perch@yahoo.co.jp)、店頭までお願いします。
【読書会の流れ】
1.持ち時間5分ほどで簡単な自己紹介と『死にたいって誰かに話したかった』(南綾子著)の感想を話してください。
2.参加者全員が話し終えたらフリートークを行います。
3.終了時間になりましたら、最後に読書会に参加した感想を簡単にお話しください。
4.以上で終了。
【課題本について】
ビブリオバトルでの発表者の紹介で聞いたことをもとにして私なりに『死にたいって誰かに話したかった』について少し説明したいと思います。
あくまで未読状態での私の感想というかイメージなので、内容に関して私の勘違いが入っている可能性が大いにあります。内容に関する誤りがありましたら私の責任になりますので、その上でご笑覧いただけたら幸いです。なお内容というより、紹介を聞いての私の勝手なイメージについてつらつらと書いている感じなので読まなくても全然問題ないです。
派遣社員の女性が主人公。仕事熱心ではあるが空回りしてばかりで周囲の人からは鈍臭かったり若干関わるのがめんどくさいと見られている節がある。
そんななか生活環境の変化もあって、日々の生活に次第に「生きづらさ」を抱くようになる。
自分の悩みを誰かと共有したいと思い「生きづらさを克服しようの会」を発足すると、モテなさすぎるのが悩みだという男性やエリート会社員、会社を経営する女性などが集まるようになる。集まりの中で毎回テーマを決めておしゃべりをするようになり交流が深まっていくがはたして…?といったあらすじです。
まずは作品のタイトルにも含まれている「死にたい」という言葉について。
これはかなり「強い」言葉だと思いますが、言葉通りに死にたいという意味ではないことをまずは押さえておく必要がありそうです。想像ですが、自分の内面に関する深刻な(暗い)話ができる場所や人間関係が必要な状態ということを表しているではないかと思います。ただ、「死にたいって誰かに話したかった」と過去形になっている点はいくつか解釈の余地がありそうな気がします。それこそ「死にたい」という言葉に含意されているものが何なのかによって受け取り方が変わってくる、グレーな言葉だと思います。
ビブリオバトルの質疑応答の時間に発表者に対して私も一つ質問をしました。「小説のなかの「生きづらさを克服しようの会」が毎回テーマを決めていると話されましたが、(発表者が)印象に残ったテーマや面白いと思ったテーマがあれば教えてください」という内容です。
テーマを決めていても脱線することが多かったり、おしゃべりの中で話題になった映画を急遽みんなで観る会を催したりと、当初の目的からはズレていってしまうのだけれども、それが人が集まることで生じる面白さだと思ったという風なことを答えられていました。
この点は「読書会(という集まり)の課題本(テーマ)を決めるという趣旨」のイベントでこういう内容の本を選んで紹介されるのはかなりメタ的でもあり個人的にも面白いなと思いました。
それともう一つ面白かったテーマの話で、「4番目にくるもの」について主人公たちが話す場面が面白かったという話も惹きつけられました。
例えば、誰かが結婚をしたとして、おしゃべりの流れでその理由(相手の好きなところ、或いは良いところ)のベスト3を訊くような時があるとします。
でもわざわざ訊いたり口に出したりしない「4番目に位置を占める理由」が実は大事だったりするのではないか?と発表者の方が話していたのが印象深く残りました。
作品に絡めての私の勝手な解釈ですが、ベスト1位〜3位は稀にしか起こらなくても4位は割と頻繁に起こる類のものなのかもしれないと想像しました。もちろん良い意味で頻発するなら結構ですが、例えばこのベスト4位の項目が「死にたくなる理由」に含まれる場合、本人にとっては大事なのに他人から見ると「そんな理由で?」と言われかねない。そんなグレーな領域の話にも思えるのです。タイトルとは裏腹に暗い内容の小説ではないであろうことはビブリオバトルの発表を聞いて分かりましたが、でもきっかけさえあれば誰もが…?というある種の不穏さを予感させるといいますか、薄暗さのある小説ではあるかもしれません。
さて、未読の状態なのに想像したことをつらつらと書いてしまって恥ずかしい限りです。以下に箇条書きしたような点が個人的に気になったので、想像したことと実際に描かれていることとのズレも味わいながら読み進めて読書会に臨みたいとところです。
タイトルから暗い内容を想像される方もいらっしゃるかもしれませんが、もう少し毛色の異なる内容だと思います。ご興味ある方はどうぞ気楽にご参加いただけたら幸いです。
【現時点(未読状態)で個人的に気になる点】
・「生きづらさ」は他人に解消してもらうものではなく、抱えている自分でしか取り組めないものだと思うけれども、一方で自分独りの限度を超えた事態でもあると思う。もし自分自身でそれに向き合える瞬間が訪れるとしたら、それは他者との関係の持ち方もまた変化する時なのかなと個人的には考えるが、この小説でそれが描かれるとしたらそれはどのようにしてなのかが気になる。
・読書会を企画する身としては人が集まる場を継続することの難しさもまた感じるところだが、本作品での「生きづらさを克服しようの会」は物語が終わっても継続されるのかどうかが気になる。終わるにしても継続されるにしても登場人物たちにとってその集まりがどういう場所だったのか見届けたい。
・『死にたいと誰かに言いたかった』と過去形になってることの意味。言えるようになったいう意味合いなのか、今も言わないことを選んだのか。或いは「死にたい」の言い換えだとしたら、そこにはどのような言葉が当てはまるのかを考えてみたい。