ハリーズバー
タイトルだが、こちらはご存知の方も多いと存じますが、文豪へミングウェイが愛したBarである。
(ホテルリッツのバーも有名なのだが、そこは[Bar へミングウェイ]と改名したのだっけ・・・。)
彼のお気に入りのカクテルはいろいろとあったようだが・・・皆さんはBarで何をオーダーされていらっしゃいますか?
ある時、ある場所にて・・・
あの有名な芸奴・桂つ乃さんが現れた。
「○○○○○○を作って下さい。」(○○○○○○にはカクテル名が入る)
バーテンダーは、いつものようにそのカクテルを作り、彼女の前にそっとグラスをおいた。
その瞬間、彼女は「これ、違うえ。」
バーテンダーは「???」
そんなはずはない。
小生もその彼をよく存じているが、バーテンダーとしては一流だ。
レシピを間違えるはずはない。
ところが、彼はそれだけで終わる男ではなかった。
すぐどこかへ電話をかけ、新しいレシピで先程と違うカクテルを作り、彼女の前にグラスをおいた。
彼女はひとくち飲んで「ああ、これやわ~。これ。」
それからしばらく満足そうにそのカクテルを味わった。
このお話だが、こういうことだ。
彼女がオーダーしたカクテルの名前は忘れたが、実はこのレシピ、普段このバーテンダーがいる場所で作っているものが、全国的にポピュラーである。
だが、その当時、京都では『○○○○○○といえばこれを入れる』というレシピが流行していたようだ。
一見、液体の色さえも違うのだ。
このバーテンダーがかけた電話の先は、京都のある知人のバーであった。
そこで、そのカクテルは『京都でいうところの○○○○○○』というものと知る。
で、作りなおしたというわけである。
こういった機転、心遣いは、そのお酒の素敵なエッセンスとなる。
小生もこのバーテンダーとのジョークのやりとりに楽しい時間を過ごさせて頂いた。
ある時、もうこれ以上笑い転げることはないやろう・・・という夜。
そのバーにおもむいた。
「今の私の気分に合ったカクテル作って。」
(断っておくが、関西人の女がこのようなせりふは吐かない。これはギャグで言っているのである。そのギャグに対して当意即妙に返せなければつまらない奴!となる。ちなみに「小生」と書いてはいるが、私は女性である。)
出されたカクテルの名前は『ラスティネイル』
これは『錆びた釘』または『古めかしいもの』という意味がある。
小生、いつもゲラゲラ笑い転げながら過ごしていたようにみせて、その当時、仕事上少し悩んでいたことがある。
若い人材、新しい才能・・・雇用していたスタッフ達の活かし方についてである。
詳細は割愛させて頂くが、この『ラスティネイル』の一件で、悩み、迷っていたことに、自分なりの決断ができた。
リタイアを考え、田舎暮らしという名のスローライフを考え始めたのは、この時くらいからだ。
もう、飲みに行ってはグラッパとかシェリーとか浴びるようにヤッていた自分。
そうこうしているうちに答えが出た。
「イチ抜けしよう!」
その後はかなり時間もかかり、紆余曲折あったが、ようやく自分の居場所を見つけることができた。
それでも人間だから、またしばらくするといろいろな迷いやしんどいことが訪れる。
そんな時、「そろそろまたあのバーを覘いてみようか。」
皆さんのそばにはそんなBarはありますか?
(お気に入りの喫茶店でもお好み焼き屋さんでも居酒屋さんでもスナックでもいいのです・・・。)
あればそれはとっても素敵な場所なのでしょうね。
今宵も至福のひとときを堪能して下さいね・・・。
乾杯!