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M-Cross International Corporation Column

海外進出で待ち受ける壁

2018.06.26 12:05

 新たに日本企業が海外市場へ向かうにあたり、将来への夢と希望を抱きながら意気揚々と現地へ進出すると思いますが、その前に現地がスムーズに受け入れてくれるかどうかを考えてから向かう事が重要です。 特にアメリカ進出において待ち受ける壁を考えてみたいと思います。

進出初期段階の壁

 海外展開する場合、ターゲットとする市場が既にあるかどうかによって、壁の種類が変わります。

◆競合他社がいない場合

 目指す国にライバル商品が無い場合は、市場から抵抗を受けることは無いでしょう。しかし、ここで注意しなければならない事は、商品を受け入れてくれる市場があるかと言う事です。自社商品に類する商品が現地に無ければ、ブルーオーシャンなので、すぐ利益が出そうなイメージなりますが、なかなかそのようには行きません。

 アメリカという市場は世界最大の市場であるがゆえ、世界中から商品が集まり、商品に関する情報が入り乱れてます。今は人の脳が処理出来ないほどの膨大な情報が、入り乱れてます。そのような中で、今まで見たことも触ったことも無い商品を検索することは、ほとんど起こりません。地道に自社で情報を発信したとしても、ありとあらゆる情報が入り乱れているので、発信した商品情報は埋もれてしまい、市民の目になかなか止まりません。さらに、目に止まったとしても見たことの無い商品に興味を持ってもらわなければ、脳内に商品情報が入りません。

 つまり、商品を認識してもらえないという壁が立ちはだかります。

 また、中間業者や協力者においても、その商品に類する商流が存在しない場合、巨大市場を新たに開拓するためには、相当な労力がかかるイメージが浮かびます。この面倒なイメージに打ち勝つには、一つあたりの利益額が多くなければ、相手にすらしてくれない場合が多いあります。興味を持ってもらうには、利益額が数十万円/個で、その話をした時にやっと重い腰を上げて動いてくれるかどうかといったところです。低額商品であれば、数多く売れるかどうかわからない段階では、なかなか取り扱ってもらえません。

 ここでは、相手にしてもらえない壁が立ちはだかります。

  自力で地道に宣伝活動して、市場の意見を集めるまでは、相手にしてもらえない状態です。


◆競合他社がいる場合

 ライバル商品が既にある場合は、確実に市場があるため、ある程度の予測ができますが、先ほどとは異なる壁が立ちはだかります。

 市場内の商流において、既存の商品が出回っていて、既に各社の利益が創出されている中で、新参者の商品に入れ替える事は、取り扱い企業のリスクになります。ギャンブルしてまで新商品に入れ替える状況に持ってくるためには、かなりの労力が必要です。ましてや自国企業でもない進出企業の商品では、なおのこと難しいミッションです。

 ここでは、安定循環している状態を崩せない壁が立ちはだかります。

 どの国においても、よそ様の国に新参者の外国企業が市場に入ってくると、相手側がいい気分になる事はないでしょう。アメリカ市場ならせめてアメリカ法人を設立して、じっくり腰据えて現地に利益を落とす姿勢を見せなければ、なかなか認められません。既存商品とは異なる珍しい機能がある事で一時は取り扱ってくれるかもしれませんが、現地に根を張る覚悟がなければアメリカ企業と関係を築くことができず、ビジネスは長続きはしないでしょう。


進出後の壁

 競合他社がいない場合、いる場合のどちらも、初期の壁を乗り越えたとしても、次に訪れる、文化の違いにより現地ビジネスパートナーと関係が築けない壁がやってきます。特に他国の文化と大きく異なる日本企業にとって、これは大きな壁となります。

 日本企業側は「思うように動いてくれない。」と考えがちですが、これが表に滲み出た時点で、現地のビジネスパートナーは、仕事し難い相手だと認識してしまいます。それが積み重なってくると相手は優先度を急激に下げます。面倒で手間がかかる事は避けたいからです。

  最初はうまく進んでいたのに、気づけば急激に売上が低下していたという状態になれば時既に遅しです。一度ついたイメージはなかなか払拭できません。自国のビジネス文化上は、自国でしか通用しません。進出する相手国の文化に合わせなければなりません。日本人はアメリカでは極少数派です。たった42万人しかいません。アメリカ人口のたった1.7%しかいないと言われる少数派のユダヤ人でも500万人以上いて、アメリカビジネス界に打ち解けようと小さい時から努力してます。メキシコ人にいたっては5000万人います。そんな中で極少数派の日本人の論理は通用しません。

 また、アメリカビジネスでは、契約で縛るだけのドライな関係を求めていると思われがちですが、アメリカはウェットなビジネス関係を求めます。ビジネスする相手を信じて、信頼関係を築きながらお互いビジネスを発展させます。

  歴史的にも、広大な国土を切り開き、内戦してひとつの大国を作り上げ、世界トップの経済へと発展させたアメリカ。そのような国だからこそ、アメリカ国内においては、お互いを信じあい助け合う文化があります。

  ビジネスの現場では、ライバル企業でも市場発展のためであれば手を取り合い、情報を交換する文化です。

 海外進出においては、どこの国の論理で動かないといけないかを常に意識しなければ、進出側は成功しません。日本人が思う常識は日本でしか通用しません。

  

  相手国に進出して相手国の土地から利益を奪う海外進出というビジネス行為においては、利益を奪うイメージを現地に与えては致命的です。日本側のスタイルや論理を押し付けてしまうと、違和感を与えてしまいます。

  アメリカにおいて、違和感なきビジネスは、それぞれが適正利益を享受して、共に発展する事です。それがビジネスマナーというルールにより、各社役割分担をして、ルールに則り機能的に各社動きます。

  違和感を与えると言う事は、上記の真逆行為と取られ、ルール違反して独り占めする可能性があると取られても仕方ありません。

  多民族が集まるアメリカだからこそ、ルールが重要な位置を占めます。


  アメリカのベンダーやクライアントなど、ビジネスパートナーを尊重して現地企業と共に発展する姿勢が、大きな壁を乗り越え成功に導く道と考えます。

  アメリカは商流においての上流下流に関わらず、各企業尊重し合いビジネスパートナーとして対等に位置します。

  日本市場とは、ビジネスルールが違います。

  アメリカのビジネスルールに則れない企業は、アメリカ市場というフィールドで試合する権利は与えられません。

  いつまでたっても現地の協力者が得られなければ、要注意です。ルール違反をしているのかもしれません。

  それこそ、修正不能の乗り越える事が出来ない最大の壁が出現します。