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富士フとゼロックス、「離婚」の危機

2018.06.27 01:01

富士フとゼロックス、「離婚」の危機

時事通信 6/27(水) 7:30配信


 米事務機器大手ゼロックスが富士フイルムホールディングスとの提携を解消し、自らアジア・太平洋市場に参入する考えを表明した。夫婦にも例えられる両社の半世紀を超す親密な関係は破綻寸前だ。一体何があったのか。

 ―もともとどんな関係だったの。

 富士フイルムとゼロックスは、共同出資で1962年に富士ゼロックスを設立し、世界の事務機器市場で協力関係を築いてきた。現在、生産は主に富士ゼロックスが担い、販売についてはアジア・太平洋を富士ゼロックスが、欧米をゼロックスが担当する形ですみ分けている。互いの技術や商標も担当地域別にライセンスし合う関係で、「結婚しているようなもの」(富士フイルムの古森重隆会長)と言える。

 ―経営統合が発表されたはずだけど。

 1月にゼロックスと富士ゼロックスとの経営統合の合意が発表された。計画では、富士フイルムは統合会社の株式の過半を取得し、ゼロックスを買収することになる。

 ―どうして仲が悪くなったの。

 買収に関して、ゼロックスの大株主が「企業価値を過小評価している」と猛反発したことから、同社は5月に合意破棄を決めた。統合を実現するには株主の了解が必要で、当時の経営陣が統合のメリットを説得できずに退陣。富士フイルムは米国で損害賠償請求訴訟を起こした。ゼロックスの新経営陣は古森会長に書簡を送り、2021年に切れる契約を更新せず、富士ゼロックスとの長年の提携を解消する考えを示した。

 ―本当に別れちゃうの。

 世界的な紙離れで事務機器市場は縮小しており、富士フイルム側は統合が唯一生き残る道だとして強気の構えを崩していない。一方のゼロックスは「売り上げが減って苦しむのは富士ゼロックスの方だ」と反論し、新たな提携相手を探す構えを見せる。ただお互いに依存し合っている事実は否定できず、簡単には「離婚」できない。「離婚」カードをちらつかせて、ゼロックス側に有利になるように統合計画を見直させる駆け引きの一環ではないかとの見方もある。