若狭 6 小浜西組
今日は小浜西組をご紹介します。
放哉も歩いた町並みです。
近世初期の町割りがそのまま残っています。
古い建物・景観が点で残っていることはあっても
丸ごとブロックで残っている例はほかにないそうです。
小さな港町ではありますが、
かつて北前船の寄港地として、
いかに発展していたかがよくわかります。
そして小浜の人びとが、
自分たちの文化と歴史をいかに大事にしてきたかも伝わってきます。
町並みの一角に小さな庚申堂があります。
身代わり猿(くくり猿)が吊るしてあります。
この庚申堂は小浜の初代藩主・酒井忠勝の娘が、
息子の武運長久を願って建立したのが始まりだそうです。
庚申堂の御本尊が青面金剛なのですが、その使いが猿であることから、
この身代わり猿(くくり猿)が生まれたといいます。
身代わり猿は「厄や災難を背負って貰い去る」とされ、
魔除け・厄除けとして、家々でも飾られています。
紅殻格子の美しい町家が軒を連ねていますが、
町家にはこの地域ならではのユニークな特徴があります。
上の写真、珍しい作りになっていますが、
なにかお気づきになりますか?
同じものがこちらにも。
そう、これです。
なんだかわかりますか?
「がったり」といいます。
折りたたみ式の縁台です。
商品を並べて売るための台なのですが、
使わないときには、こうして畳んで置くことができるのです。
すっきり収納の上、デザイン性も高いですね。
それからもう一つ、
「井」のマークがあります。
その見た目通り、井戸のマークなのですが、
家に消防用の井戸があることを示すものです。
火災の際に消火活動ができることをあらわしています。
以前、「善光寺と一茶3水路」でもご紹介しましたが、
江戸以来、どの町も火災に悩まされてきました。
小浜西組も例外ではなく、
建て込んでいますので、
ひとたび火災が起こるとたちまち延焼してしまいます。
住民が力を合わせて急いで消火しなくてはいけません。
そんな緊急のときのための「井」のマークなのです。
いかがでしたでしょうか。
小浜西組、また訪れてみたい場所です。
次回は小浜西組にある八幡神社などをご紹介します。
どうぞよい一日をお過ごしください。