パーコール法による男女産み分け精度は80%, 発表, EHSRE2017
2018.06.27 15:33
もうすぐESHRE(European Society of Human Reproduction and Embryology; 欧州不妊学会)がスペインで開催されますね!
私は行かない(投稿した発表がRejectされたので行けない)のですが、ESHREには毎年1万人近い研究者たちが世界中から集まり、生殖医療に関する研究発表を行います!まさに、世界最大規模の学会です!!
今回は、2017年にスイスで開催された学会から、男女産み分けに関する発表を紹介します。
P-100 Role of Gender Selection in ART
N. Nikprelevic, S. Cheung, C. O’Neill, S. Chow, Z. Rosenwaks, G. Palermo
Weill Cornell Medicine, The Ronald O. Perelman and Claudia Cohen Center for Reproductive Medicine, New York, U.S.A.
世界で初めて顕微授精による出産を報告したPalermoが率いる名門コーネル大学からの発表です。
簡単にまとめると
- 精子を遠心密度勾配法(通称:パーコール法)で精子を選り分け、さらに精子頭部の形でY精子(女)とX精子(男)を選んで、産み分けすることができないかを調査した。
- 遠心密度勾配法後の精子を分析した結果、X精子を81.4%、Y精子を78.0%の確率で選り分けることができた。
- さらに精子頭部の形により選り分け、顕微授精をおこなった。
- 授精後の胚をPGD(着床前診断)した24組のカップルのうち、19組で望んだ性別の胚を得ることができた。それらを胚移植し、3組で妊娠が成立した。
- 授精後の胚をPGD(着床前診断)しなかった10組のカップルのうち、1組が望んだ性別の赤ちゃんを妊娠した。
- 確実な男女産み分けをするのにはPGD/PGSが必要である
解説
- アメリカでは男女産み分けを認めている州がある。
- 遠心密度勾配法により精子を選り分けしない場合、精子は無作為にピックアップされるため、受精卵の男女比は50%。それを着床前診断して選り分けるので、どうしても望んだ性別の受精卵を得る確率が低い。
- 遠心密度勾配法により精子を選り分け、さらに着床前診断を行うことで、望んだ性別の胚を得る確率が高くなる
わたしが一番驚いたのは、
「After selection, our method was able to consistently yield 81.4% for X- and 78.0% for Y-bearing spermatozoa.」
という、一文です。
いままで遠心密度勾配法で精子の性を選り分けることができると言われていましたが、これは最も現代的な手法を用いて科学的に証明した研究です。
つまり、パーコール法の産み分け精度は約80%だと言えます。
ただし、これは実力を伴った技術者が行った場合での結果です。どこの施設でも簡単にできる話ではありません。ものすごく繊細な技術なのです。