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臍帯とカフェイン

朗読詩 しにいたるやまい

2023.06.13 06:01

いつだって、明日死ぬための理由を見つけながら詩を書いてた。

だから、詩の中の僕はいつも未来を語る。

それが死に至る病で、詩に至る病であることもわかってたんだ。

一体、あの頃と比べて何が変わったっていうんだろ。

あのころの死にたかった僕と比べて変わったことなんて、

死ななくてもいい理由が増えただけだ。

死にたい理由なんて何も変わってないのに。


あの、小説の中で集まろう。

あの、エリオット詩集を片手に持ってさ。

あの、苦しかった事に名前をつけてさ。

どうだっていいよな、そんな事なんてもうさ。


書き損じた話がいくつか溜まったな。

破いて捨てた、自分の人生みたいでさ。

あれからいくつの詩を吐き出してきただろう。

なあ、もういいだろって誰も止めないから。

吐き出しては、破いて、破いては、吐き出して。

物語の中に行こう、そうやってバグらせたこの右脳。

誰から言われても、辞める気なんてないのに。

きっともっとどっかでそっとペンを置く日を。

夢見てははっと気づいてヒッチコックみたいに俯いてる。



あの、小説の中で集まろう。

あの、エリオット詩集を片手に持ってさ。

あの、苦しかった事に名前をつけてさ。

どうだっていいよな、そんな事なんてもうさ。



それでも幸せの渦の中にいることを忘れちゃいけないんだよ。

渦の真ん中は、何も変わっていなくとも

その渦の周りでは、人生が巻き上がっている。

大きくなった台風達をぶつけあって、それを愛と呼び続けてるのだから。

深夜のコンビニ行く、みたいにさ

明日の朝に、何食わぬ顔でたまご

焼いては、嘯いてる。

生きたいも、死にたいも、綯い交ぜにしては

掻き回して、朝のニュースの音量を少しあげる。

後ちょっとを、生きてみよう。

の繰り返し。

 

あの、小説の中で集まろう。

あの、エリオット詩集を片手に持ってさ。

あの、苦しかった事に名前をつけてさ。

どうだっていいよな、そんな事なんてもうさ。


まて、誰か笑ってるやつがいる。