集中的なマインドフルネス(瞑想)の実践後―体内では特定の分子変化が起きる/研究者達が証拠を報告
http://mizu888.at.webry.info/201312/article_50.html より
研究者たちは、ついにマインドフルネスと思考により本人の遺伝子に特異的な分子変化を誘導する方法を示した
精神のトレーニングや、あるいは意識の特定のモードを誘導することにより、有益な健康効果をもたらす可能性についての証拠が増え続けている中、科学者たちは、これらの精神のトレーニングや意識が身体にどのような物理的な影響を及ぼしているのかを理解しようとし続けている。
ウィスコンシン大学、そして、スペインとフランスの研究者たちによる新しい研究は、集中的なマインドフルネスの実践の後に体内で起きる特定の分子変化について、初めてその証拠を報告した。
研究では、集中的なマインドフルネスの実践をした瞑想の経験が豊富な被験者たちのグループと、瞑想的な訓練を受けていない被験者のグループを比較することでおこなわれた。
そして、マインドフルネスの実践の8時間後、瞑想者グループは、炎症誘発性遺伝子のレベルの低下を含めて、遺伝子調節機構のレベルの変化と遺伝子と分子の変化を示した。これらは、ストレスの多い状況からの早い物理的な回復と関係する。
ウィスコンシン大学の心理学と精神医学が専門であるウィリアム・デヴィッドソン( Richard J. Davidson )教授は「私たちの知る限り、今回の論文はマインドフルネス瞑想の実践と被験者内の遺伝子発現の急速な変化の関係を示した最初の研究論文です」と述べる。
▲ ウィスコンシン大学のウィリアム・デヴィッドソン教授。アメリカの「心の健康調査センター」(Center for Investigating Healthy Minds)の創設者でもある。
また、スペインにあるバルセロナ・バイオメディカル研究所( Institute of Biomedical Research of Barcelona )のペルマ・カリマン( Perla Kaliman )氏は以下のように言う。
「この研究で最も興味深いことには、この遺伝子の変化が、現在使われている抗炎症性剤および鎮痛薬での作用対象となっている遺伝子において観察されたということです」
(訳者注)上の部分は、痛み止めなどの鎮痛消炎剤が遺伝子に作用する場合と同じ変化が瞑想の後の遺伝子に現れたということだと思います。平たく書くと、「瞑想と鎮痛剤が同じような効果を示した」ということのようです。
今回の研究は、学術誌『サイコニューロンドクリノロジー』( Journal Psychoneuroendocrinology / 精神神経内分泌)に掲載された。
マインドフルネスを基礎とした実践方法については、前臨床試験において、炎症性障害に有益な効果を示しており、炎症性障害の予防的介入としてアメリカ心臓協会( American Heart Association )が推奨している。
今回の新しい研究は、治療効果の可能性についての生物学的なメカニズムを提供することにもなる。
遺伝子の活性は知覚に応じて変更され得る
ブルース・リプトン( Bruce Lipton )博士によると、遺伝子の活性は、日常的に変化している可能性があるという。
これは、あなたの心の中の認識があなたの身体の化学的性質に反映されるということでもあり、あなたの神経系が、あなたの知覚を読み取って解釈し、細胞や血液の化学的性質を制御しているとした場合、あなたは文字通り、「自分の考えを変えることによって」あなた自身の細胞の運命を変えることができるはずだ。
実際、リプトン博士の研究は、人が認識を変更することで、その人の遺伝子の活性には変化が生じることを示している。そして、各遺伝子からは3万以上のバリエーションの遺伝子を作り出すことができることも示した。
リプトン博士は、遺伝子プログラムは細胞の核内に含まれていると述べており、遺伝子活性の変化が、その人の遺伝的プログラムを書き換えることができると考えている。
これは、ひどく単純なたとえとして書けば、あなたが病気を癒したいのであれば、あなたは考え方を変える必要があるということを意味する。
マインドフルネスの実践は具体的に身体の調節経路に影響する
デビッドソン教授の研究の結果は、炎症に関与する遺伝子の動きを低下させる機能調節を示した。
影響を受ける遺伝子には、炎症の痛みや熱の原因となる物質を作る炎症誘発性遺伝子 RIPK2 および COX2 ならびにいくつかのヒストンデアセチラーゼ( HDAC)遺伝子が挙げられる。しかも、その調節が発生する時間も早い。
また、今回の論文からは、マインドフルネスの実践がゲノムのエピジェネティックな変化につながる可能性があるという原理の証明を提供している。瞑想したグループでは、非瞑想グループでは見られなかった遺伝的変化を示している。
(訳者注)エピジェネティクスとは、こちらによると、「DNAの配列変化によらない遺伝子発現を制御・伝達するシステムおよびその学術分野のこと」だそうです。
潜在意識の信念が鍵となる
非常に多くのいわゆる「ポジティブ・シンキング」の支持者たちは長い間、「良いことを考える」ことが良いという確約を持ってきたが、必ずしも、それがいつでも良い気分を生み出すわけではないことも、また彼らは知っている。
リプトン博士は、ポジティブ・シンキングのこの点に関しての議論はしない。
なぜなら、ポジティブな考えは、意識的な精神(顕在意識)から来るものだからだ。
博士はこのように言う。
「多くの人々は、意識的な信念や意識的行動を認識はしていますが、しかし、潜在的な信念や、潜在的な行動に気づいていません。しかし、潜在的な信念や行動は、意識されているものより何百万倍もパワフルなものであるかもしれないのです、私たちはふだんの生活の中で、自分たちの持つ意識や能力のうちの 90パーセント以上を使っていないのかもしれません」。